2022年1月から始まったNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。俳優・小栗旬さんが演じる北条義時を主人公に、平安時代末期から鎌倉時代初期までを描いた物語だ。
ドラマの中で、義時同様に注目を集めているのが、源頼朝(大泉洋さん)。そして、平家追討で重要な役割を果たす人物の一人が、頼朝の弟・義経(菅田将暉さん)だ。この2人にゆかりのある場所が麻生区内に存在する。
今後の放送で描かれるであろう、平家追討のために頼朝が挙兵したことを知った義経が、奥州平泉(岩手県)から駆け付け、黄瀬川(静岡県)で対面する場面。奥州平泉からの道中で、義経が今の麻生区内を通ったとされており、その言い伝えが今でも残っている。
「二枚橋」
そのひとつが、麻生区と多摩区の境、世田谷通りの「高石歩道橋下」交差点から、よみうりランド方面に向かう途中にある「二枚橋」。
この橋は、義経一行が多摩区の寿福寺を過ぎ、高石から五反田川の橋を渡ろうとするも、橋が粗末だったため渡ることができず、弁慶たちが丸太を使って橋を架け直したとされる。丸太の上に土を盛ったその橋が、横から見るとのし餅を2枚に重ねたように見えたことから「二枚橋」と名付けられたという。
現在、その言い伝えが書かれた看板が橋のそばに設置されている。
同名店は屋号
「高石歩道橋下」交差点のそばに、橋と同じ名前の和菓子の販売・卸店「ニマイバシ」(多摩区西生田)がある。店主・富田勇二さん(74)は「昔は橋の隣に店があり、名前が付けられた。私で4代目と聞いているが、店はもっと前からあったのでは」と店の歴史を語る。店名は、昔の屋号(家の呼び名)から来ているという。
富田さんによると、現在のように道路が整備される前は、橋のすぐ横に街道が通っており、都心方面から町田に向かう際の「お休み処」として繁盛していた。「雑貨屋だったり、マーケットをやっていたとも聞いている。和菓子店として45年になる」と富田さん。
以前から、二枚橋の言い伝えを聞き、同じ名前ということで店を訪ねてくる人も多いという。「今回もドラマで見に来る人もいるでしょうね」と話してくれた。