スポーツを通したまちの盛り上がりや地域経済の活性化を図るため、横須賀市が久里浜1丁目で整備を進めている横浜F・マリノス久里浜練習場。市民も利用できる天然芝フルピッチのグラウンドやフットサルコートなどができます。利用時期は当初、この秋としていましたが、来年の2023年1月まで延長することが先日、市から発表されました(グランドオープンは同年5月)。今年は久里浜が盛り上がるぞ!いっぱい取材するぞ!と気合が入っていただけに少し残念…。そんなことを思いながら久里浜周辺をトボトボ歩いていると「トントンカンカン」と聞こえてきます。「一体何ができるんだろう?」と記者と同じく疑問を抱いている読者のモヤモヤを解決すべく、久里浜で新しく誕生する、または、すでに完成した施設をまとめて紹介します。
浦賀警察署
まずは浦賀警察署から。市内に3署ある中の1つで、市南東部エリアを管轄しています。老朽化や耐震性の問題などにより、2020年10月に浦賀からJR久里浜駅の西側へ移転。しかし、地名のイメージが先行して「分かりにくい」という利用者の声もあったため、来年4月、すでに県立高校や図書館などにある「横須賀南」の名を冠した警察署に改称されます。名称変更は神奈川県内54署のうち、1994年11月に横浜市青葉区が誕生した際に「緑北署」から「青葉署」へと変わって以来の27年ぶり。
JAよこすか葉山 本店・くりはま支店
浦賀署前の道路を挟んだ向かいの敷地に、ガラス張りのモダンな建物が。3月23日にオープンするJAよこすか葉山の本店とくりはま支店です。浦賀署の移転や横浜F・マリノス久里浜練習場の誘致など、今後益々にぎわいを見せるであろう久里浜に可能性を求めたJAが、この地に新設することを決めました。林にある現本店を移転、久里浜・北久里浜・浦賀・佐原の4つの支店を統合。金融・共済事業や総務部といった管理部門の集約、敷地の一画を利用した地元の生産者による朝市の開催なども計画中。地産地消を推進することで、農業活性化の役割を担う複合型店舗として、さらなる経営強化を図る狙いがあります。
セブン–イレブン横須賀内川新田店
JAから少し歩くと、オレンジ・グリーン・レッドの看板を発見。2月17日にオープンしたばかりのセブン–イレブン横須賀内川新田店です。元々はガソリンスタンドがあった土地をセブン–イレブン本部が借りて、運営者を募ったところ、ここから約500mほど離れたところにあるクリーニング店と併設したセブン–イレブン横須賀佐原5丁目店(2010年オープン)のオーナー・村田成徳さんが手を挙げました。JA同様に、久里浜の盛り上がりに期待を寄せているのはもちろん、3年前に発生した2つの大型台風で店舗が停電したことを受けて、多店舗展開の必要性を痛感して、オープンに踏み切ったそうです。「コンビニは商品を売るだけでなく、夜に光を灯したり、安心感を与える場所。あの時、お客様に何もしてあげられなかった無力感が心に残っていて、もう1軒あればなとずっと思っていました。地域に開けたコンビニを目指します」と村田さんは熱い想いを語ってくれました。
京浜産業㈱ 久里浜工場
セブンを背にすると、目の前で巨大な足場が組まれています。ここは特に地域の方から「記者さん調べてみて!」と言われていた場所。工事現場のスタッフさんに声を掛け、奥にある事務所を紹介されました。職員の方に接触し、話を聞いてみると、トラックや鉄道、船舶などに使われる鉄鋼部材の加工会社・京浜産業㈱(本社/横浜市神奈川区)の久里浜工場と事務所を増設しているのだとか。5月末に完成予定。横浜F・マリノス練習場の近くにあるので「サッカー関連の施設ができるのでは?」と思っている人も多いようですが関係はありません。
久里浜1丁目第2公園
ぐるりと回ってJR久里浜駅前へ。横浜F・マリノス久里浜練習場の整備前に、市民に親しまれていた旧くりはまみんなの公園の代替として、市は久里浜1丁目第2公園を4月25日に供用開始予定。
- 健康遊具(幅広い世代が利用可能)
- 多目的広場(ゲートボールなど軽い運動にぴったり&泥遊びなどができる子ども向け)
- トイレ(24時間営業・バリアフリー対応)
- 展望デッキ(電車が良く見える)
- ビオトープ(生き物観察などの場)
- 芝生広場(自然に触れられる場)
- 低木植栽(花壇としての利用もできる)
- 駐車場(15台完備)
など、バラエティに富んだ設備が用意されます。線路と平作川に沿って、三角のカタチをした公園ができます。
市立うわまち病院
市は2018年、老朽化が進み、手狭で療養環境に支障が生じているとして、市立うわまち病院の移転建て替え予定地を神明公園に決定しました。久里浜地区は救急搬送出動件数が多く、市南部の各行政センター管内(北下浦・久里浜・浦賀・大津)からの搬送時間シミュレーションでも、短時間でどこへでも到着できる立地にあると判断したのが、久里浜への移転理由。グラウンドがある南側(神明中学校側)に建設され、遊具や公衆トイレなどがある北側(イオン側)は公園用地として、そのまま利用されます。2022年度から工事を行い、2025年3月1日の開院を目指して事業が進められます。
神明第2公園
市立うわまち病院の移転建て替えに伴って、地域住民が体を動かす場として利用していた神明公園の代替施設として、市はくりはま花の国プールの隣にある「神明第2公園」を再整備。2月に供用開始となりました。球技の利用を想定して、広場の中央にあった植栽を取り払い、高さ約15mの防球ネットで四方が囲まれています。ソフトボールや少年サッカー、ゲートボールなどに使用できます。
「10年後の景色、ガラッと変わるね」
半世紀以上にわたり、久里浜のまちづくりに尽力してきたのが、久里浜地区連合町内会の小川喜久雄会長。「10年後には久里浜の景色もガラッと変わるね。F・マリノス練習場を起点として、まちがどんどん元気になっているように感じる。今後、企業や団体の拠点が増えれば、雇用も生まれる。久里浜で生まれ育った人とこれから移住してくる人が一緒に手を取り合い、地域のコミュニティをより豊かにしていきたい。特に未来を担う子どもたちが大きくなった時に『私は久里浜出身です』と自信と誇りを持っていえる場所になっていてほしい」と期待を寄せています。