「ひきこもっている家族とどうコミュニケーションをとったらいいかわからない」「新しい環境になじめず、家から出られなくなった」 家族関係や学校、職場などの人間関係で困っている時、どこに相談すれば良いか分からないという悩みはありませんか?
- ひきこもり、不登校などで悩む人とその家族の明るい未来を切り拓いてきた「横浜市青少年相談センター」に、タウンニュース記者が取材し、施設で働く人に話を聞きました。
【目次】
◆横浜市青少年相談センターってどんなところ?
◆人と社会をつなぐ「相談員」
◇Q.どのような人から相談が寄せられますか。
◇Q.仕事にやりがいを感じる瞬間は。
◇いま、悩みを抱える若者やその家族にメッセージを
◆交流イベントを見学してみた!
◆取材を終えて
横浜市青少年相談センターってどんなところ?
1963年中区翁町に開設し、2007年南区浦舟町を経て、2022年3月28日に保土ケ谷区川辺町に移転しました。
移転先住所:保土ケ谷区川辺町5-10複合棟3階(相鉄線星川駅 北口から徒歩2分)マップはこちら
横浜市青少年相談センターはその名の通り、通学や就労に困難を抱える、概ね15歳から39歳までの青少年とその家族の支援に取り組んでいます。2009年に厚生労働省の「ひきこもり対策推進事業」による「ひきこもり地域支援センター」として認定を受けました。地域ユースプラザ、若者サポートステーションとともに、若者の社会参加などをサポートしています。
- 福祉や心理の資格を持つ、経験豊富な相談員が一人ひとりに寄り添ってくれます!
- 相談は無料。関係機関やNPOとのネットワークを活かし、適切なアドバイスを出してくれるので安心!
- 利用者の家族を含めた包括的な支援で、次の一歩をアプローチ!
人と社会をつなぐ「相談員」
相談員の鹿角さんと福澤さんにお話を聞きました。
◇鹿角浩美(かのつのひろみ)さん
勤続10年。穏やかな笑顔と豊富な経験で、これまでに多くの若者の声に耳を傾けサポートしてきた。趣味は読書。
◇福澤祐真(ふくざわゆうま)さん
勤続6年。気さくで親しみやすい人柄で、相談者のニーズに応える。学生時代はバスケットボール部。
Q.どのような人から相談が寄せられますか。
鹿角さん「ひきこもりや不登校のお子さんを育てている親御さんからの相談が多いです。不登校のまま学校を卒業し、社会とのつながりが薄れてしまった方、就職がうまくいかなかった方、職場の人間関係になじめず、ひきこもり状態になってしまった方もいます」
福澤さん「やはり、人間関係の悩みから、ひきこもりになったという相談が多いです。例えば、大学生ですと、ゼミやグループになじめず、中退してしまうケースが見られます。コミュニケーションを取るのが苦手で(職場での)ディスカッションが苦痛に感じたため退職し、ひきこもりになったとの相談もよく受けます」
Q.仕事にやりがいを感じる瞬間は。
鹿角さん「相談員は、利用者さんに『自分の力で成長できた』と実感してもらえるよう意識しています。利用者さんが青少年相談センターを訪れるうちに表情が明るくなり、その人らしさを出せるようになる瞬間に立ち会えることにやりがいを感じます」
福澤さん「近くで利用者さんを支援し、その人から『(社会活動に関して)幅を広げて挑戦し、達成感が得られた』などの話を聞けると、私も嬉しいです。青少年相談センターが実施しているグループ活動に参加し、『仲間から褒められた』と喜んでいる様子を見ると、達成感を分かち合えた気がします。髪の毛を切ったり、服装を明るくして、『人前に出られるようになった』。そうした成長の瞬間に立ち会えるのが、この仕事の魅力です」
いま、悩みを抱える若者やその家族にメッセージを
鹿角さん「ひきこもりや不登校は誰にでも起こりうることです。相談するのは、最初は勇気がいることだと思いますが、一人で抱え込まず、お話しできる範囲で構わないので、まずは私たちに相談してください」
福澤さん「利用者さんから『(悩みが)漠然とした状態でも話して良かった』という声をいただきます。悩みを話すことで思考が整理され、現状を客観的に見られるようになります。『試しに相談してみるか』といった気軽な感覚でよいので、困ったことがありましたら、まずはご相談ください」
- 記者のナルホド
心理や福祉関係の資格を取得した相談員さんが親身に対応し回てくれるので心強いです。初回は電話で相談を受け付けているので、人間関係などで悩んでいたら、まずは相談しましょう!
グループ活動を見学してみた!
横浜市青少年相談センターでは、スタッフが見守る安心・安全な環境で、集団に慣れたり、自己表現できる場として、グループ活動も行っています。活動をのぞかせてもらいました!
カードゲーム、スポーツ、創作等様々な活動を行っています!
仲間とのコミュニケーションを深める「グループ活動」。トランプなどのカードゲーム、バドミントン、卓球、バスケットボールなどのスポーツ、カレンダーデコレーション作りなどにチャレンジします。
興味のあることから取り組むことで、少しずつ対人緊張がほぐれたり、共通の話題ができます。仲間との信頼関係が生まれて、人との交流が楽しくなります。
- 話を振られても、無理に話さなくてもよい〝パスあり〟というルールがあります。グループ活動は「見学だけでもOK」で、参加の形は利用者のペースに合わせてさまざまです。
出会いと経験は一生の財産に
〝青少年相談センターから一歩踏み出して〟がコンセプトの「社会参加体験」。リサイクルショップの販売体験では、利用者の希望に応じて商品の値付けや整理、レジ打ちや接客業務を体験します。人の役に立ったという経験、お客さんとのコミュニケーションなど、得られるものは大きいはず!
そのほか、レストランでの接客、厩舎で馬の世話などが経験できます。どれも貴重な体験です!
- 自分の好きなことや才能を見つけるきっかけに。社会復帰への後押しにもなるはず。
取材を終えて
悩みの大小は関係なく、学校、会社などのコミュニティーで生きづらさを感じる人も多いのではないでしょうか。横浜市青少年相談センターというと、思春期の中高生が対象と思いますが、実は20代の利用者が一番多いそうです。相談員の話を聞くことで、誰もが気軽に訪れることができる相談窓口だということが理解できました。
福祉や心理などの分野に詳しい職員が関係機関と連携し、利用者と家族が抱える悩みについて一緒に考えてくれます。保土ケ谷区川辺町で新たな歴史を切り拓く横浜市青少年相談センターに注目したいです。