猫に会いたい~三崎・城ヶ島編~

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猫に会いたい~三崎・城ヶ島編~

猫――。それは記者の心を癒してやまない体中を毛に覆われた動物。本能の赴くままに行動する生き様に憧れを抱いてやみません。

自宅の本棚を覗くと、猫をテーマにした漫画や小説が意外にもたくさんあることに気づきました。『キャッツ♡アイ』はあまり関係ないとは思いますが…。

三崎・城ヶ島で取材していると、いつの間にか場の空気に馴染んでいる猫たち。ただ、こちらから探しに行こうとすると、全然会えないケースが少なくないです。

そんな気まぐれなところも猫の好きなところ。「あーいーされるよーりーもー♪あーいーしたいまーじーでー♪あぁ、とことん戯れてみたい」。居ても立ってもいられず、一路現場に向かうことにしました。

三崎エリア

海を間近に眺められる三崎。陽光が燦々と降り注ぎ、思わずあくびをもよおしてしまいたくなるような風景に、心がすぅーと解き放たれます。

海南神社

まずは、地元の漁師さんたちが大漁を願ってお参りする海南神社へ。境内に入ると静かで、澄んだ空気が厳かな気持ちにさせます。

第1三崎猫発見!しかし、すぐ木陰に隠れてしまいました。「まぁ、そのうち出てくるだろう」という心づもりでしたが、いくら待っても一向に戻る様子はありません。「今日はダメだ」。苔むした石垣の上でガックリと膝をつき、仕方なく次の場所へ向かうことにしました。

米田郷海宮司によると「3~4匹見かけます」とのこと。朝方か夕刻が巡り合えるチャンスらしいです。

下町

次に向かったのは、ユニークなお店が所狭しと軒を連ね、ノスタルジックな雰囲気を醸し出す下町。海鮮料理店・まるいち食堂の周辺を歩いていると、車の下から視線を感じました。

そぉーと腰を下ろすと…いました!

後ろを振り返るともう1匹!なんだか似ている!

「てめぇ誰だ?」と言わんばかりにこちらへ睨みを利かし、妙な緊張感が辺りを支配しました。少し当惑しながら「びっくりしちゃったね~。ごめんね~。こわくないよ~」などと相手に歩調を合わせれば合わせるほど白けた雰囲気に。相手は泰然と構えているばかり。「初対面だし、もう少し通いつめて仲良くなろう」。そう誓って、この日は三崎を離れることにしました。

城ヶ島エリア

城ヶ島に到着。鉛筆で描いたような惚れ惚れする線の岩場に、波の砕ける音が響きます。「うーん、何だか開放的な気分」

磯料理かねあ

「猫と言えばあの店だよ」と地元の人たちから紹介されたのは、磯料理かねあ。店主の尼野恭嗣さんによれば現在、ドンくん、ミーコちゃん、ハナコちゃん、宮尾ちゃん、ボノくんの5匹を外でお世話しているそう。「猫はそんなに好きじゃなかったんだけどね。昔、バイトの子が餌をあげていて。そのうち膝の上に乗ってきたり、私も撫でたりしているうちに、可愛くなっちゃってね」と笑顔で話していました。

「社長室」の札が掲げられた扉をそぉーと開けると…。

寝起き猫!邪魔してすみません!ガチャン!

外に出るとババーン!違う猫!

しばらくすると草むらでゴロゴロ&スヤスヤ。一体どんな夢を見ているのでしょう?

この子は置物のようにじっとしている。

てくてく端に移動すると「首がかゆい」とカキカキ。

せっかくなので、朝どれ生しらす×マグロ丼をいただくことに。「しらす甘い。マグロもねっとりした食感でパーフェクト!」

最後に尼野さんは「皆さん、猫に会えて嬉しいのは分かるのですが、イカとか人間の食べ物を与えないでほしい。糖尿病や腎臓病になってしまうので…」と注意を呼び掛けていました。

シーサイドハウス

「コーヒーでも飲みたいな」。満ちたお腹を抱えてゆったり歩いていると、ひときわ目を惹くイラストが目に飛び込んできました。

ちょうど喫茶店だったので、立ち寄ることにしました。

おぉ~店内ただならぬムードが漂っています。「子どもの時から映画好き」という店主の鈴木満さんが集めたスターのポスターやプロマイドが所狭しと貼られています。

記者のお気に入りは『勝手にしやがれ』。この時のジーン・セバーグの髪型がめちゃくちゃカッコいいです。

気になる貼り紙を見つけました。生前、城ヶ島に住んでいた時期もある北原白秋をイメージした通称「白秋コーヒー」。名称、ド直球!

早速、1杯注文。吐息混じりに飲むコーヒー。「ほっとする」。思わず鈴木さんに「猫を探しているんですよ」と頬を赤らめながら告白すると「もうすぐ4時か。ご飯をあげる時間だから猫くるよ」と言います。

実はこの店でもエルくん、エディくん、ヤマトくん、ボノくん、イノくん、ニノくん、サンくん、シロウくん、コウくん、フクくん、シーちゃんの11匹をお世話しているそう。「メス1匹にオス10匹!逆ハーレム状態!」。しっぽがL字だからエル、黒猫だからヤマトなど、それぞれの特徴から名前を付けているとのこと。

午後3時45分くらいから、スズメが集まってきました。「ちゅんちゅん」と適当に鳴いているように思えて「そろそろ餌が来る」「おこぼれもらおう」などと、記者には分からない言葉で合図を送っているのかもしれません。

さぁ、息を凝らして猫を待ち構えていると…。

1匹の猫がぬっと姿を現しました。

でも、まだお皿にご飯が盛られていないことに気づくと…。

神妙な面持ちでゆっくりとこちらに向かってきました。どうやら早とちりしてしまったようです。

隣の駐車場に視線を送ると、気持ち良さそうにまどろむ猫たち。「いや待てよ…。スタンバイ中かな」。

「ザザーッ」。鈴木さんが餌を持った瞬間、一目散にやってきた彼ら。おなかペコペコのようです。

すると、草むらから「ニャー!(俺のは!)」。目を三角にして怒りの表情が滲み出ています。あどけない顔立ちで「ていやぁ!」と一矢を報いようとする姿は健気で共感を呼びます。

城ヶ島公園

島内をあちらこちらと、ほっつき歩いて辿り着いた城ヶ島公園。

芝生に座り、砂を落とそうと靴を振りながら、夕陽に包まれ始めた景色の中で息をついていると…。

防災倉庫の下でくつろぐ猫が!どちらかというと太めの体格。近くに餌が落ちていて、どうらやボランティアの方々の手によって、お世話されているようです。結局、この子が最後に出会った猫になりました。

帰路へ・・・

帰りの車中。いざ、ずんぐりした姿が消えてしまうと、猫たちに対して今まで以上に親近感を覚えました。三崎・城ヶ島ともに何処か哀愁めいた空気を感じながら、愛くるしい猫たちと戯れることができて大満足でした。

「ただいま~」。自宅の扉を開けると、妙に落ち着かない様子の愛犬・よっちゃん。「ワンワン(浮気してきたでしょ?)」とビー玉のような瞳で飼い主の私を凝視してきて「何だか気まずい…」。猫も犬も好きな記者。「今度、お前も連れて行くからな」。そう告げて、なでなで。30分後、相手も納得したようで「無事めでたしめでたし」な旅に終わりました。

  • 皆さんもカメラ片手に三浦市を訪れてみてはいかがでしょうか?もし猫たちに会うことができれば、仕事や家事の疲れを一瞬でも忘れられるかもしれません。

住所

神奈川県三浦市城ヶ島

公開日:2022-06-23

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