自治会が運営主体の野川南台コミュニティバス「みらい号」の利用者が昨秋15万人を突破。これを受け、1月15日、乗車乗り場を提供している3店舗に南昭子宮前区長から感謝状が贈られた。
みらい号は、県営野川南台団地自治会(庄司幹夫会長)が運営主体となり、2008年7月に本格運行を開始。道路運送法の許可を要しない運行で、運転は自治会のボランティアが担う。
車両は10人乗りのワゴン車。週3回、午前8時台から午後3時台まで、同団地集会所から、ヨークマート川崎野川店、ダイワサイクル川崎野川店、セブンイレブン川崎高津野川店を周回し、団地集会所に戻ってくるルートだ。運賃は無料。
主に同団地や周辺の住民が買い物や通院に利用しており、昨年10月には運行開始からの利用者数が15万人を超えた。そこで乗降場所提供店に感謝を伝えようと、南区長、庄司会長らが店舗を直接訪れた。庄司会長は「皆さんにはいつもお世話になっている。今後ともよろしくお願いします」と感謝を表した。
16年、近場への足に
同団地は高台にあり、主要アクセスは急な坂道。約60年前に立てられ入居者の高齢化が進む一方、周辺に店舗や医療施設があまりないため、05年から自治会と行政の協働でコミュニティ交通の導入を検討開始。既存バス路線の乗り入れや乗り合いタクシーなども検討されたが、採算性等の理由で断念し、自治会が運営費をまかない運行する仕組みに舵を切った。
「午前中は買い物に出かけようと利用する人が多く、席が埋まることも。午後は路線バスで出かけた人が帰りに利用することもある」と庄司会長。コロナ禍には1カ月の休止期間もあったが、その後席の間隔を空ける形で再開。ルートは複数回の変更を経て、16年ほぼ休みなく続けてきた。「運行しながら苦労もしてきた」。現在の乗車数は1日40人〜70人。住民の近場に出向く足として活用されている。
運転手は庄司会長含め3人。「利用者の数や道路の様子など情報を共有しながら運行している」と話すが、次の担い手確保が課題だ。「必要とされている分、希望は持っていたい」と語る。