観光庁は3月26日、「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業」を実施する対象地域を発表し、箱根町が「先駆モデル地域」に選ばれた。上限8000万円(補助率3分の2)の補助金が交付される事業で、箱根町は「箱根エリアにおける混雑平準化および道路渋滞緩和推進事業」に取り組む。事業期間は2025年2月末まで。
国内外の観光需要が急速に回復する地域において、過度の混雑や観光客のマナー違反による地域住民の生活への影響のほか、旅行者の満足度低下などが懸念される中で、適切な対処を講じようと国が推進する事業。今年1月から公募が行われ、審査の結果、先駆モデル地域として全国で20地域が選出された。県内では鎌倉市と箱根町の2地域が選ばれた。
偏りをなくす
箱根町では町や(一財)箱根町観光協会(箱根DMO)が中心となり、警察や住民らの意見を取り入れながら、6月中旬までに具体的な実施計画を立て、7月の審査・承認を経て事業を開始する予定。箱根DMOの佐藤守専務理事によると、時期やエリアによって観光客が集中し、局所的な混雑が発生している問題に対処していく方針だ。
例えば、大涌谷を目的地とする観光客には、直接車で訪れるのではなく、近隣の桃源台駅や蛯子駅、早雲山駅の駐車場(一部有料)に停めてロープウェイで巡る「パーク&ライド」を勧める取り組みを強化する。また、平日と休日の観光客数の偏りを平準化するプロモーションにも力を入れるという。佐藤専務理事は「1時間ほどの渋滞が発生することもある。混雑解消のための取り組みを周知して緩和できれば」と話した。