江戸時代からつづく川島町の農家・三村大輔さんが栽培したぶどうを原料にした地場ワイン「開港ワイン」が完成した。4月13日に開かれた試飲会で今シーズンの出来栄えを確認した三村さんら関係者は「程よい渋みがあり、甘い香りのチャーミングなテイストに仕上がった」と話した。完成したワインのうち100本が区内の酒店で一般販売される。
明治から昭和期にかけて保土ケ谷域にはぶどう畑が点在していたという。1902(明治35)年には現在の市立峯小学校近くに「皇国葡萄酒醸造所」が建設され、戦前まで皇室御用達の「皇国葡萄酒」を醸造していたという。
保土ケ谷産のジャガイモを原料とした地場焼酎づくりに携わる区民らのグループは、こうした歴史の伝承や「新たな地場産品を生み出そう」と、「横浜市保土ケ谷区産のワインを造る会」を設立。5年前から「地場ワインプロジェクト」が始動した。
今シーズンは9月上旬に三村さんが栽培した糖度が高く酸味が少ないアーリースチューベン種を山梨県勝沼の「東夢(とうむ)ワイナリー」に340kg持ち込み、これに世界的に見ても希少なビジュノワールという醸造用品種を15%ブレンドし醸造。750ミリリットル瓶で339本が仕上がった。
13日には区内で関係者が集まり試飲会を開催。「豊潤さが増している」「フルーティーで飲みやすい」などと話しながら地場の味を楽しんだ。
7店舗で一般販売
今シーズンは100本限定で区内の酒販店7店舗で一般向けに1本4350円で販売される。取扱店は▽(有)花見堂酒店(初音ヶ丘)▽清水屋酒店(和田)▽(有)斎藤富美商店(今井町)▽内田酒店(坂本町)▽(有)白井(西谷町)▽河原屋酒店(同)▽久保田酒店(新井町)。問い合わせは大尾さん【携帯電話】090・1803・6686へ。
収量確保へ
原料となるぶどうを生産する三村さんによると昨夏は雨が少なく、高温障害もあり例年に比べ収量が減った。完成したワインの大半は予約販売となり、一般向けの販売を増やすためには原材料の確保が求められる。
同会は2021年に新井町の畑にぶどうの苗木を植栽。斜面地で水はけが良く、ぶどうの栽培に適した土壌で「アジアンダック」と「デラウェア」の2品種を育てている。今秋には初めて収穫できる見込みで、このぶどうを使ったワインも試作する計画だという。