この連載は月1回、「ふたまたがわ歯科口腔外科」の中谷逸希院長が気になるお口のあれこれについてわかりやすく解説してくれるコーナーです。
今回は歯磨き粉についてのお話です。歯磨き粉は、ただ泡立てたり口の中をスッキリさせるためのものではありません。特にフッ素入り歯磨き粉には、むし歯予防に確かな科学的根拠があり、世界中で使われています。
大切なのは「フッ素濃度」です。フッ素入り歯磨き粉の裏面には濃度が表示されているので確認してみましょう。乳歯が生え始める2歳から5歳の子どもには、約1000ppmの歯磨き粉が推奨されます。量は「2歳までは米粒大」「3歳からはグリーンピース大」を目安に1日2回、特に寝る前の使用が効果的です。6歳以上や大人では1500ppm前後の歯磨き粉を2cmほど使うのが望ましく、仕上げに少量の水で1回だけうがいするのがポイントです。
「フッ素」と聞くと安全性を心配される方もいますが、実際にはお茶や昆布など自然の食品にも含まれる元素です。食品安全委員会が定める基準と比較しても、推奨される歯磨き粉を適量・適切な回数で使う限り、安全性に問題はありません。
歯磨き粉は正しい使い方も大切です。小さな子どもが使う場合は手の届かないところに保管し、保護者が量を調整してあげると安心です。そして、かかりつけの歯科医院で定期的にチェックを受けながらセルフケアを続けることが、むし歯予防に最も効果的です。
毎日の歯磨きにフッ素入り歯磨き粉を取り入れ、健康な歯と笑顔を守りましょう。