コラムの第四弾に登場するのは、新大船商店街の「(株)中村薬局 犬山店」の代表取締役で薬剤師の中村友彦さん。今回は「災害時に備えた役に立つお薬のお話」を伝授してもらいました。
薬剤師 中村友彦さん
このコラムでは地元商店の皆さまの技や知恵を紹介していただきながら、商店街の皆さまの人柄も知っていただきたいと思います。ぜひ、皆さまも栄区の商店街を知っていただき、足を運んでみてください!
災害時、お薬は手に入る? 薬局の体制について

画像はイメージです
大規模災害時には、すぐに医療物資が届かないこともあります。しかし、薬局や行政は様々な対策をしています。まずは、身近な薬局や地域の公的支援の取組みを紹介します。
【薬局での備蓄】
薬局によっては、通常1カ月分ほどのお薬をストックしていることが多いです。
【地域の協力体制】
横浜市栄区薬剤師会では、災害時用の備蓄医薬品を管理し期限を切らせないよう循環備蓄しています。
【開局を知らせる旗】
災害発生時に無事に調剤を行える薬局や診療所は、「イエローフラッグ」を掲げて調剤可能であることを知らせます。在宅避難をしているが、大切な薬がご自宅にない場合は、イエローフラッグを掲げたお近くのかかりつけ薬局に頼ってみましょう。

災害時に開局を伝える「イエローフラッグ」
【モバイルファーマシー(災害対策医薬品供給車両)の運用】
モバイルファーマシーは東日本大震災の教訓から開発された特殊車両で、大規模災害等でライフラインが喪失した場合でも自立して調剤業務と医薬品供給が行える車両です。横浜市薬剤師会と横浜市、横浜薬科大学の3者で共同運用しており、市内で2台所有しています。

モバイルファーマシー
【医薬品卸会社の備え】
大規模災害時、医薬品卸会社は事業継続計画を策定し、非常用電源の設置やガソリン備蓄、衛星電話の整備などの対策を講じています。全国の拠点網での薬の備蓄や自治体との協定による共同備蓄などの体制を整えています。
個人で備える薬は?

落ち着いた店内
備蓄や供給の体制があっても、災害の状況によっては予定通りにいかないこともあります。そのため、薬は個人でも備えておくことが重要です。
【薬を備えておく日数】
大規模災害時の救命救急が落ち着くまでの目安とされる、3日~7日分を想定し、7日分は個人で備えておくことが一般的とされています。
【特に切らしてはいけない薬】
次に代表する病気や症状をお持ちの方は事前に備えておく必要があります。
糖尿病(インスリンなど)、パーキンソン病、抗けいれん薬、喘息薬、ステロイド(高用量)、経管経腸栄養剤、重症筋無力症などの薬です。これらは特に切らしてはいけない薬とされています。また、嚥下機能が低下しており、錠剤を飲みこむのが難しい場合も事前に対策が必要となります。
【備蓄方法】
備蓄薬は普段飲んでいる薬とは分けて保管し、期限にも注意しましょう。また、いざという時に持ち出せるように準備が必要です。
【かかりつけ医への相談】
災害時に必要な薬の備蓄日数については、必ずかかりつけの主治医とよく相談しておきましょう。
災害時の「命綱」!お薬手帳の重要性

災害時の命綱「お薬手帳」
お薬手帳は、あなたの命を守るための非常に重要なアイテムです。特に切らしてはいけない薬が必要な病気や症状を持つ人はなおさらのことです。
災害時に役立つメリット
【処方箋なしで薬がもらえる】大規模災害時には、お薬手帳があれば、処方箋がなくても薬の使い方が安定している慢性疾患の薬を受け取れる場合があります。
【正確な情報伝達】避難所や救護所で初めて会う医師や薬剤師に対しても、あなたが飲んでいる薬(薬の用法用量)や治療の経緯、副作用、アレルギーなどの情報を正確に伝えられます。
【安全な服薬の継続】飲み合わせによる副作用や薬の重複投与を未然に防ぎ、適切な治療を継続するのに役立ちます。
お薬手帳のポイント
【情報を一つに】複数の医療機関を受診している場合でも、お薬手帳は1冊にまとめ、薬の情報を一つに管理しましょう。情報が複数に分かれていると、薬のすべてが把握できず危険です。
【古い情報に注意】新しい薬を避難用に備えるため、先にもらった古い薬から飲むなど、常に新しい情報に更新しましょう。情報が複数に分かれていると、薬のすべてが把握できずに危険です。
【電子版と紙】電子お薬手帳は携帯性に優れていますが、通信障害やバッテリー切れの可能性も考慮し、発災初期には紙のお薬手帳も併せて持っている方が安心です。お薬手帳はWEBデータやマイナンバー医療証といったデジタル化が進んでいる一方で「紙のお薬手帳」も依然として重要です。持っていない人は薬局で配布していますのでこの機会にぜひ、お立ちよりください。

栄区犬山町にある中村薬局
薬剤師の中村さんは、サッカーやキャンプ、バイク、漫画など多趣味で、マスク越しでも笑顔が素敵でした。飯島中学校の学校薬剤師のほか、スポーツファーマシストなどの資格もお持ちです。お薬の相談はお気軽に。
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