夜。
お風呂も入った。歯も磨いた。明日の準備もした。あとは寝るだけです。
「おやすみ。」
電気を消します。今日も一日終わった。そう思った瞬間です。
「ねえ。」
来ました。
「今日ね、学校でね。」
なぜ今。さっきまで時間はたくさんありました。夕食の時も。お風呂の前も。歯を磨いている時も。
なぜ布団に入ってからなのでしょう。
「どうしたの?」
聞くと、
「今日ね、友だちがね。」
話が始まります。しかも長そうです。こちらは一度消した電気をつけます。
どうやら本編が始まるようです。
友だちが何か言った。別の友だちが来た。先生も来た。途中で消しゴムがなくなった。誰かが笑った。話はあちこちへ飛びます。
登場人物も増えていきます。眠い頭では、もう誰が誰だかわかりません。
「それでね。」
まだ続きます。こちらは必死です。相づちだけは途切れさせてはいけません。
「うん。」
「へえ。」
「そうなんだ。」
この三つでなんとか戦います。そして、ようやく核心です。
「明日、折り紙持っていく。」
そこ?長い物語の着地点は、折り紙でした。
「わかった。明日用意しよう。」
今度こそ電気を消します。
しばらくすると、
「ねえ。」
まだあるのか。
「今日、楽しかった。」
暗闇の中から聞こえました。
「そっか。」
今度は電気をつけませんでした。少しして、寝息が聞こえてきます。
こちらは目が覚めてしまいました。困ったものです。
でも、いつかこの「ねえ」が聞こえなくなる夜も来るのでしょう。
そう考えたところに、
「水飲みたい。」
まだ寝てませんでした。
あなたにも、寝る前だからこそ話せたことはありましたか。












