「伝えることが役割」
アイヌ民族の言葉や文化を広く伝えようと、湘南台在住の関根摩耶さん(20・慶応大学湘南藤沢キャンパス3年)は動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信をしている。昨年4月に自ら配信する「しとちゃんねる」を開設。アイヌ語での日常会話など、これまで60本ほどの動画を投稿。総再生回数は15万回にもおよぶ。
関根さんは北海道でアイヌ人の比率が最も高い地域とされる二風谷(にぶたに)の出身。自身も母方から血を引くアイヌだ。父親はアイヌ語の講師、母親はアイヌの工芸品作家という家庭環境で、幼少期から言葉や文化に触れ育った。「アイヌが身近にあることが当たりまえで特別なことではなかった」という。
自身のルーツを意識し始めたのは高校3年生のころ。「漠然と文化の継承とか貢献とか考え始めて、もっと勉強がしてみたい」とアイヌの言葉や文化を主に学ぶ研究会のある同大に進学した。
日常生活で使う会話をアイヌ語で紹介
ユーチューブは、友人の勧めでスタートした。「最初は顔を出すのも嫌だったけど、私を通じてアイヌのことを広く伝えられたら」と自身も出演することに。動画は1本3分ほどで、日常生活で使う会話をアイヌ語で紹介。その内容は「自己紹介」をはじめ、「好きな人」「待ち合わせ」、「カラオケに行きたい」など状況設定もユニークだ。会話レッスンの他にも、伝統料理や楽器、歌なども紹介している。
コメント欄には「アイヌの言葉初めて聞きました」「アイヌ語を残してほしい」など反響も大きい。外国からのコメントも多く、最新の動画では、英語での配信に挑戦している。
関根さんは「家族やお世話になった人たちが喜んでくれている。伝えることが私の役割だと思っている。勉強を続けながら、これからも発信していきたい」と話した。