丸子地区の多摩川河川敷で10月10日、悪疫退散などの願いを込めて、花火の試し打ちが行われる。混雑を理由に中止された丸子多摩川花火大会から53年ぶり。地元で発足した検証委員会が主催し、2021年以降も花火大会として継続できるか検証する。
今回打ち上げる花火に込める願いは、新型コロナウイルスの早期収束と、多摩川の安全、昨年の東日本台風からの復興。打ち上げは10月10日、午後6時30分から9時までの間の10分間。「密」を避けるため、詳細な時間は非公表とし、できるだけ家から鑑賞するよう呼び掛ける。
子どもたちの思い出作りに
主催する「丸子多摩川花火検証委員会」は、丸子多摩川観光協会の尾木孫三郎会長と丸子地区連合町会の松川正二郎会長が発起人。市内で活動する花火師の谷古宇正啓さんと共に、地元の諸団体へ協力を呼び掛けた。今月18日に行われる丸子地区連合町会の総会で了解を得て、開催が正式決定される見通しだ。尾木会長は「短い夏休みでたくさん遊べなかった子どもたちの思い出作りにもしてもらえれば」と話す。
同検証委員会は、丸子多摩川花火大会が開催されていた1960年ごろと比べて、街の環境や人口密度も異なる中で、花火大会を想定した花火玉を試しに打ち上げることで、効果や問題点、賛否の声を調査・検証したい、としている。
丸子の花火大会
丸子の花火大会は、以前は夏の風物詩だった。1925(大正14)年に料亭「丸子園」の創業者が始め、戦時中は中断されたが49年には再開。30万人の見物客がいたといわれている。東急電鉄の資料によると、65年には2200発の花火や1000メートルのナイアガラの滝が夜空を彩ったという。しかし、来場者数が100万人を超え、渋滞による道路交通への影響などを理由に1967年8月を最後に中止となった。