<Webで施設見学>座間市の児童養護施設「成光学園」を訪ねました 両親がコロナになったときの“一時保護所”も初公開

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児童養護施設「成光学園」ってどんなところ?

児童養護施設「成光学園」を見学リポート

「児童養護施設」と聞いて、どのようなイメージを持っているでしょうか。施設の内部を知る機会は少ないため、「なんとなく」ネガティブなイメージを持っている人は多いかもしれません。

そこで今回は、小田急小田原線「相武台前」駅すぐ、座間市緑ケ丘にある児童養護施設「成光学園」にご協力いただき、Web上でも施設内の雰囲気を感じてもらえるよう、記者が園内を見学した様子をリポートします。実際に訪問しなければ得られないこともありますが、このリポートで「なんとなく」の認識が少しでも変わるきっかけになればと思います。施設は現在、コロナ対策で施設見学を制限していますので、見学を希望される方もぜひ参考にしてみてください。

一時保護所をメディア初公開

また成光学園は、2020年から神奈川県の要請に応じ、両親が新型コロナウイルスに感染した場合の子どもの一時保護所としても機能しています。今回メディアでは初めて一時保護所の取材が叶い、保護所内の様子を写真を交えて公開します。「感染との恐怖」と闘いながらも、責任感を持って取り組みを続けているその思いにも迫りました。

<目次>

1.児童養護施設とは?
2.成光学園の歴史
3.「成光学園」施設紹介
4.「一時保護所」
5.取材を終えて

児童養護施設とは、児童福祉法で定められた児童福祉施設の一つです。児童福祉法では、次のようにあります。

  • 児童養護施設は、保護者のない児童(乳児を除く。ただし、安定した生活環境の確保その他の理由により特に 必要のある場合には、乳児を含む。)、虐待されている児童その他環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設。(児童福祉法第41条)

 具体的には、18歳までの児童で

  • 親の疾病や失踪、離婚、死亡等で保護者を失った児童
  • 虐待を受けている児童
  • その他環境上養護を必要とする児童

の家庭に代わる場所であり、生活指導や保育、並びに小・中・高校等への通学などを通じて、豊かな人間成長を図る場です。

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成光学園は児童福祉法の法整備以前から運営している歴史ある学園です。歴史は遡ること昭和14年、初代園長となる矢部金義氏が現在の地に農場を開設したことに始まります。農場では青少年の心身の鍛錬と食糧増産を行っていました。

  • 昭和20年、終戦を機に、終戦孤児や浮浪児を引き取り養育する園を建設。児童福祉法が制定された昭和24年に同法に基き、「成光学園」を開設しました。高度成長期には「コインロッカーベイビー」の保護についても積極的に行ってきました。

平成16年1月に社会福祉法人成光福祉会が認可設立し、成光学園の運営法人となります(初代理事長は矢部皖一・2代目園長)。現在の矢部雅文園長は、3代目の園長となります。

学園内の学童寮棟の前には初代園長の像があり、子どもたちの生活や園内を通行する地域の人たちを見守っています。矢部園長によると、初代園長は眼鏡をかけていたそうで、お顔はそっくりだそうですよ。  

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主な施設は、学童寮棟と旧幼児寮棟です。まずは子どもたちが生活を送っている学童寮棟を紹介します。

※今回、実際に見学しているような「施設のありのまま」の状態を伝えたいという園長の思いから、プライバシーに配慮しつつも、子どもたちが生活している日常の空間をそのまま撮影していることを予めご理解ください。撮影にあたって「演出」は一切行っておらず、写真の加工もせずにアップしています。

学童寮棟

学童寮棟は「ハ」の字に近い形で2階建てです。同様の構造の生活スペースが対になっており、その中央に階段があります。普段は行き来ができますが、現在はコロナ対策で自分の暮らす生活スペース以外の生活スペースに行き来することを自粛しています(2021年4月現在)。

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広間

1階建物入口を入ると広間があります。ここでは、おやつを食べたり、遊んだり、勉強をしたりしています。子どもたちは普段建物の中ではこの広間で過ごす時間が多いそうです。

また壁には、学園の子どもたちが受賞した数々のトロフィーが飾られています。成光学園では県内の施設が出場する駅伝大会や野球大会で好成績を残してきました。

残念ながら2020年はどちらもコロナの影響で中止となってしまいましたが、今後もこのトロフィーや賞状が増えていくことでしょう。

居室

広間を中心にして、子どもたちの居室(個室〜2人部屋)があります。

洗面所、浴室

洗面所や浴室は居室と同じフロアにあります。洗面所には、手洗いうがいに関するお知らせが掲示されていました。毎日の意識づけが、「感染しない、させない」行動につながっていると感じました。

2階に上がってみると…

中央の階段を上がり、2階に上ってきました。基本構造は1階と同じですが、日の光が差し込み、とても明るい印象です。

居室ごとに火災報知器がついており、検知した際は部屋の外からでもわかるようになっています。

2階の踊り場からは、外の様子もよく見渡せます。子どもたちのお気に入りスポットのようです。

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「ぼくたちも暮らしているよ!」

建物内で飼育されている生きものたち。子どもたちがお祭りでゲットした金魚や川遊びでつかまえた魚たちがいました。

ホール

1階にはホールがあります。ここではピアノや卓球ができるほか、理容室「カットサロン フィックス」のスタッフの皆さんによるボランティアカットの会場にもなっています。

フィックスの皆さんのボランティアカットは2008年から継続しています。地域がつなぐ縁、とても素敵です。

食堂&タロ

子どもたちが食事をとる食堂は、学童寮棟とは別の建物にあります。また、食堂の前には、成光学園で飼育している柴犬「タロ」がいます。

  • タロは目があまり見えません。園にきたときは怖がってかみつくこともありましたが、今では安心して笑顔を浮かべることも多くなってきました。愛くるしく、みんなの人気者です。

晴れた日には…

学園敷地内には、遊具がある遊び場や、バスケットコートがあります。

放課後や休みの日には、子どもたちが元気に遊んでいます。

以上が、子どもたちが日常生活を送る主な環境になります。

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コロナ禍のセーフティネット~両親がコロナ感染、子はどうする~

次に、以前は幼児寮として使われ、現在はコロナに関連した「一時保護所」として機能している旧幼児寮棟を見学した様子をリポートします。

2020年5月に神奈川県の要請で開設

一時保護所は2020年5月に、神奈川県の要請を受けて開設しました。コロナの家庭内感染が増え「両親がともに感染し、子どもだけ陰性」となった場合に、行き場のなくなった子どもを一時的に保護する場所です。

  • 矢部園長は「祖父母世代は重症化リスクが高いといわれているため、面倒を見られない。子どもたちが安心して過ごせる場所を提供しなければならないと思いました」と受け入れの経緯を明かします。神奈川県内には成光学園を含め3つの施設が、一時保護所として登録されています。

徹底した感染対策 受け入れ数日で「陽性」例も

一時保護所の運営では、言うまでもなく感染対策が徹底されています。一時保護所にくる子どもたちは、PCR検査で「陰性」となった子どもだけですが、偽陰性である場合や、受け入れて数日で「陽性」になる子どももいるといいます。

そのため水回りを含む生活空間は動線が明確に区切られ、保護所内での感染が拡大しない工夫がされています。

動線はカラーテープで仕切り

スタッフや子どもたちが動線を視覚的に判断できるよう、床にはカラーテープで仕切られています。テープを超えた移動の際は、手続きが必要になります。

居室

子どもたちが過ごす居室。基本的にこの部屋で過ごすため、寄付を受けて各部屋にテレビが設置されました。

水回り

お風呂やお手洗いも改修。蛇口もタッチレスで水が出るようになっていました。

感染対策を徹底していたとしても、一時保護所で受け入れている限り、いつ、どこで感染が広がるかの恐怖はつきまとうといいます。

矢部園長は「『感染する恐怖』『誰かに感染させる恐怖』を常に抱え、24時間対応にあたってきました」と話します。

園の経営にも負担→窮状知り地域奉仕団体らが支援

感染リスクだけではなく、受け入れは園の経営にも負担がのしかかっています。入所児童の寮と別棟の20人定員寮を閉鎖し専用施設としたため定員が減り、定員に比例して運営費を得る園は収入が大幅に減少。

また、神奈川県が保健師等を充てるため人件費支出はないものの、児童を預かることで支払われる保護費は少額です。

保護の「窮状」に地域から支援

5日目までは1人約4千円支払われますが、それ以降はたった1日千円に減額。食事3回を全て使い捨て食器で用意し、湯茶もペットボトルで提供。光熱水費、おやつ代、寝具購入も必要で、足が出た分は園の「自腹」となり、保護日数が長期化すればするほど赤字は多くなります。保護の「窮状」を受けて、地域の奉仕団体・座間ロータリークラブなどから寄付や支援があり、なんとか機能を保ち1年を迎えようとしているということです。

それでも支援を続けるのは、社会に必要なセーフティネットであり、何より子どもたちを守るため。矢部園長は「保護者が感染しても、子どもを受け入れることのできる施設があることを知っておいてほしい」と話します。

今回の施設見学は、全て矢部園長に案内してもらい、学園の辿ってきた歴史や子どもたちの温かいエピソードまで熱心にお話しいただきました。

「地域の方に、学園のことを知ってほしい」という思いの根底には、いまだ根強い児童養護施設への「偏見」をなくしたいという強い決意があります。「子どもたちは、好きで児童養護施設にやってきたわけではない。選択の余地はなく、過ちを犯したわけでもありません。今回のような情報発信を通して、学園の様子を知っていただき、子どもたちの健やかな成長を温かく見守っていただける方が1人でも増えればうれしい」と矢部園長は切実な思いを語ってくれました。

私も、地域の情報を発信する役割を与えられていることの自負と責任感をもって、引き続き成光学園の取り組みを取材し、わかりやすく皆様にお伝えしていきたいと決意を新たにしました。

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住所

神奈川県座間市緑ケ丘4-20-21

問い合わせ

社会福祉法人成光福祉会 成光学園

電話

046-251-0128

046-251-0128

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公開日:2021-06-27

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