横浜市史資料室(中央図書館地下1階)に所蔵されている戦中・戦後の日記を通して、当時の市井の人たちの暮らしに光を当てた展示会が、同図書館地下1階の会場で開催されている。会期は9月23日まで。
この展示会は「戦後横浜―それぞれの出発」と題し3部で構成される。1部は「戦災・敗戦日記」、2部「それぞれの戦後」、3部「戦後の風景」。合計40枚のパネルに日記の文面や写真などが掲載されている。
1部では当時、中区松影町に住んでいて県立工業学校の生徒だった鈴木健治郎さんの日記に着目。8月15日前後の心境や、戦後の土地の接収を乗り越えながらも生活する日々がつづられた日記が紹介されている。玉音放送の直前に新聞屋から耳打ちされた降伏の報に「絶対そんな事が、あっては、ならない」と軍国少年の一面も。2部では若者や女性、復員兵士の日記を取り上げている。
市史資料室には、戦中・戦後の日記が数多く収集されており、同資料室では、幅広い世代や女性など様々な人々を取り上げることで、横浜における戦後の多彩な様相を浮かび上がらせようと今回の展示会を企画した。
展示会を担当する調査研究員の羽田博昭さんによると、日記には日常を客観的に説明する情報量の多いものと、執筆者の思いが記されているものの2つの性格があると説明。その点を踏まえて日記を選定したという。
会場に訪れた中区新山下の椎名恒民さん(81)は「戦後の横浜がいかに変わったのかよくわかった」と話していた。
研究員による講演も
9月11日には講座「戦中・戦後の日記を読む」が同図書館地下1階で開催。午後2時〜4時30分。事前予約制で参加無料。展示会を担当する研究員の羽田さんが講師を務める。定員50人で往復はがきで申し込む(8月31日必着)。詳細は同資料室【電話】045・251・3260へ。