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【連載・第6回】ふくふくパン(茅ヶ崎市幸町) 顧客は小さな子どもさん

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【連載・第6回】ふくふくパン(茅ヶ崎市幸町) 顧客は小さな子どもさん
一番人気のミニメロンパン

 茅ヶ崎駅から桜道を東に進んで徳洲会病院をちょっと過ぎたあたりに、小さな小さなパン屋がある。2015年9月開業のふくふくパンだ。

 ショーケースをのぞくと、個人経営のパン屋には珍しく100円台のパンがいくつも並んでいる。一番人気のミニメロンパンはなんと90円。パンダとコアラの二種類から選ぶことができる(味は同じ)。店主の酒井さんによれば、ミニメロンパンはオープン当初から値上げをしていないという。

 「近くの保育園と幼稚園の園児さんが、帰りがけによく寄ってくれるんです。90円だと、お母さんから100円玉をひとつ渡されたお子さんにレシートとお釣りの10円玉を渡せる。ちゃんとやりとりができるんですよ。まさに、初めてのお使いです」

 生地には北海道産の小麦粉を使い、保存料などの添加物を一切入れていない。油脂も、なるべくトランス脂肪酸を含まないものを選んでいる。

 「パンは毎日食べるものだから、なるべく安くて、なるべく安心なものがいいですよね」

 はす向いにある保育園にも時々食パンを提供するが、大手製パンメーカーの食パンを受けつけなかった園児が、ふくふくパンの食パンはよく食べるという嬉しい知らせが届いたという。

 「まだまだですよ」と酒井さんは謙遜するのだが、楽しみながらパンを焼いている雰囲気が、お店にもパンにもあふれている。五〇代なかばで開業した酒井さん。細く長くしたたかに、まだまだ現役を続けていく決心だ。

■執筆者プロフィール

山田清機(やまだ・せいき)

ノンフィクション作家。茅ヶ崎市浜須賀在住、57歳。著書に『東京タクシードライバー』『パラアスリート』『寿町のひとびと』など。

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住所

神奈川県茅ヶ崎市幸町13−5

公開日:2021-09-20

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