座間市栗原中央にある栗原神社は、武田信玄と北条氏が覇権を争った戦国時代中期の天正元年(1573)に、この地の豪農、大矢弥市が王子大権現を勧進して祀った王子社が起源とされています。この頃、現在の神奈川県愛川町で武田氏と北条氏が繰り広げた三増峠の戦を機に、武田二十四将と縁がある曽根氏などの有力者が栗原の地に土着したとの口伝があります。
現在の「栗原神社」は明治六年(1873)に栗原の各小字に祀られていた王子、龍蔵、握財、絹張、若宮の五社を王子社に合祀したことが始まりといいます。それからは栗原神社が栗原の総鎮守として地域の人たちに親しまれています。9月の例大祭では、栗原地区の小池、上栗原、中栗原、芹沢、下栗原の五地区から、祭り衣装を身に付けた囃子連が祭り太鼓を奉納、競演する姿を見ることができます。
時を刻む石碑の数々
「明治二十六年十一月」と刻まれた鳥居、「村社栗原神社、大正十五年五月二十五日」と記された標柱、「昭和十二年十一月」と記された鳥居両脇の狛犬の台座、ほかにも大正十二年(1923)に社殿が造営されたこと、関東大震災や戦禍を免れた社殿を昭和四十三年(1968)に1984名の寄進で改修し、玉垣を造成したことなど数々の足跡が遺されています。
なかでも社殿に寄り添うように建立された高さ2メートルの石碑には、昭和四十二年(1967)に杉の御神木が神社庁の許可を受けて伐採されたこと、樹齢七百数十年といわれていたことなどが記されるなど往時を偲ぶことができます。
現在の御神木は、社殿の左奥にあるシラカシの木。周囲3.6メートル、樹高12メートルのこの大木は樹齢500年前後とも言われています。昭和五十三年(1978)に市の天然記念物に指定され、かながわ銘木100選にも選ばれる銘木として親しまれています。
災い断ち切るパワーストーン「千引の石」
栗原神社の境内には、道反三大神が宿るとされる「千引の石」が鎮座しています。過去からの災いを断ち再出発の力を与えてくださるパワースポットでもあります。
近年では、平成二十一年(2009)に拝殿が建て替えられたものの、平成二十五年(2013)には放火で神楽殿と社務所が消失。しかしその翌年には数多の寄進により再興を果たし、地域の人達が神社の年中行事開催にますます意欲を見せています。
【祭神】
豊受大神(とようけのおおかみ)、天御柱命(あめのみはらしのみこと)、国御柱命(くにのみはしらのみこと)、道反大神(ちがえしのおおかみ)、稚日留女命(わかひるめのみこと)