関係人口は移住した定住人口でもなく、観光に来た交流人口でもない「地域と多様に関わる人々」を指す言葉です。松田町は、地域に居住していなくても、まちづくりや町の課題解決に積極的に関わることができる「仕組み」を作り、継続的な「つながり」を築くことができれば、地域活性化を担う人材や将来の移住・定住人口の増加が期待できると考えています。そのために、東海大学教養学部岩本ゼミで地域活性化について学ぶ学生とともに、様ざまな取り組みを進めていると聞き、取材しました。
増えていく成功のケーススタディ
協働の取り組みは、令和元年度は祭りの魅力向上、令和2年度は町の情報発信強化に向けたPR動画の作成、令和3年度は神奈川の秘境とも称される自然豊かな寄地区のマス釣り場の活性を行ってきました。各場面で学生ならではの感覚が新たな気づきを生んでいます。
- 取材メモ 中心に据えているのは、町内でできる体験や学びの機会は、人を引き付ける魅力があるという考え方。既存のイベントでも手段を変え、より効果的な広報活動を模索したりすることで「参加者が増えた」連続開催することで「ネットワークが形成された」など成功のケーススタディが増えています。
地方の抱える課題は同じ傾向、ならば『町なじみ』をつくる!
人口減少による大幅な税収減や超高齢化に伴う社会保障費の増大は、もはや農山村部や過疎地域だけの問題ではありません。生活に欠かせない社会インフラの老朽化も進んでおり、今後地方の行財政運営はますます厳しいものとなっていくでしょう。
これらを解決するには、各自治体が工夫を凝らして歳入を確保していくしかありませんが、これは、場所や地域を限定したものではなく、全国共通の課題なので、定住促進・移住者獲得に向けた「競争」は激化するばかり。
- ポイント そこで、松田町が力を入れているのが「町なじみ」を増やすこと。「趣味や観光で何度も訪れ、回数を重ねる中で地域コミュニティにも参加する人ならばまだまだ増やせる余地あり。そして、そこから広がる移住・定住への可能性は無限大」と岩本泰教授。
都市住民に松田町への関心を高めてもらうには?
前回の国勢調査を見ても、松田町を含む足柄上郡は、小田原市・南足柄市や同郡内など近隣エリアでの転入出が多くを占めているのが現状。しかし、足柄上郡で言えば、人口1万人前後の小規模自治体同士で人口を取り合っても意味がありません。
むしろ、協力して足柄上郡に人口を呼びこむ位の意識が必要。松田町は、流行りのアウトドアのコト消費需要にこたえ得る自然資産、二拠点生活にも便利な都心からの抜群アクセスなど土台は揃っています。
町外の人を呼び込み、町内の人と結びつけ、生まれた関係性が繰り返される―。松田町の挑戦はまだまだ始まったばかりです!