誰にでもやってくる相続、とは言え、法律の知識があるわけでもなく、書類もややこしく、誰に相談したら良いか見当もつかない、という方も多いのでは。財産のこと、家・土地のこと、スムーズに引き継げるよう、生前の準備が大切です。まずは主だった相談先から押さえていきましょう。
■最寄りの行政機関(役所や税務署などの無料相談) ■税理士 ■弁護士 ■司法書士 ■行政書士 ■銀行 ■不動産事業者、コンサルタントなど。
スペシャリストの得意分野
それでは、各専門家の特徴を見ていきましょう。
- 税理士:正確な相続税の試算を知りたい場合に。そもそも相続税の申告が必要のないケースもあります。
- 弁護士:遺産分割や遺言書で揉める、もしくはすでに揉めているなど、交渉事が必要な場合。
- 司法書士:不動産の名義を変更(相続の登記)する場合。
- 行政書士:戸籍謄本など必要書類の収集、登記や税務申告以外の代理。
- 銀行:不動産や投資信託、株式など、遺産が多岐にわたる場合。納税資金の相談。
- 不動産事業者、コンサルタント:相続にまつわる資産・土地活用に関する専門知識が豊富。
増え続ける所有者不明の土地
土地、建物の相続登記「手続きが大変そうだから」と、ついつい先送りにしていませんか。
所有者の登記が行われないまま放置し、誰が所有者なのか分からない土地=所有者不明の土地が、全国的に増えています。管理者が分からない土地は、例えば、知らずしらずゴミ捨て場になったり、建物が老朽化し防災対策の妨げになったりと、社会問題化しています。国土交通省、不動産・建設経済局は増加の原因を、相続件数の増加、土地利用ニーズの低下、所有意識の希薄化をあげています。
親から相続した土地が、資産価値が低く、なかなか売れないといった場合
▼土地相続の際に名義変更を行わないまま放置
▼相続人が増え特定が困難
▼所有者の特定ができず、土地を売るにも、誰も手をつけられない、
という負のスパイラルに陥ることにも。
2024年より相続登記義務化へ
そこで国は、民法の法改正を行いました。ポイントは3つあります。
01:相続登記・住所等変更登記の申請義務化(2024年4月1日施行)
▼相続などにより不動産を取得した相続人は、所有権を知った日から3年以内に相続登記の申請を行う。申請をしなかった場合は10万円以下の過料が発生することも
02:相続により土地所有権を取得した者は手続きにより所有権を国庫へ帰属させることが可能に(2023年4月27日施行)
▼土地を相続したが、使い道がない、売却もできない場合、国が引き取ります。法務大臣(窓口は法務局)の承認が必要。負担金、手数料が発生します。
03:所有者不明だったり、管理がされていない土地・建物を対象に管理に特化した財産管理人の選任が可能に(2023年4月1日施行)
▼管理されないことで、他の人の権利や利益が侵害される場合、その利害関係者が地方裁判所に申し立てを行い、その土地・建物を管理する管理人を選任してもらうことができます。不動産・建設経済局はこうした流れを加速させるため、今年5月、対策に関する最新の基本方針・工程表を発表しました。
- 相続は誰にでもやってくるもの。法改正、しっかり押さえておきましょう。