この連載は月1回、「ふたまたがわ歯科口腔外科」の中谷逸希院長が気になるお口のあれこれについてわかりやすく解説してくれるコーナーです
あごが痛い、口を大きく開けられない、あごを動かすとカクカク・ポキポキ音がするなどの症状がひとつでも当てはまると「顎関節症」と診断されます。
あごの関節(顎関節)は耳の前にあり、大きく口を開けた時に凹む部位です。「顎関節症」とは、顎関節とあごを動かす周りの筋肉が痛む病気です。むし歯や歯周病にならぶ第三の歯科疾患とも言われており、学校歯科検診にも取り入れられています。発症のメカニズムは不明な点も多いですが、食いしばりや歯ぎしり、ストレスなどが大きな原因と考えられています。また、歯と歯を接触させる癖がある人もリスクとなることがわかっています。
顎関節症の多くは適切な診査・診断によって、ほとんどの場合は日常生活に支障をきたすことのない状態にまで治療することが可能です。治療法には、顎関節症治療用のマウスピースを用いることと、理学療法が一般的です。それでも改善が見られない場合、当院では顎関節CTで精査し、連携している大学病院にMRIを依頼するなど専門的に診療しています。
命に関わるような重い病気ではありませんが、症状があるのにそのまま放っておくと、やがてあごの機能が破壊されてしまうことがあります。また、極めて稀に顎関節腫瘍などの病気が隠されていることもあるため、気になる方は口腔外科の受診をお勧めいたします