新城郷土芸能囃子曲持保存会(千葉康史会長)が、2月20日(日)に府中の森芸術劇場(府中市)で開催される「第22回地域伝統芸能まつり」に出演する。全国各地の伝統芸能が一堂に会す舞台に向け、会員らは稽古に磨きをかけている。
新城の囃子曲持
新城の囃子曲持は、笛と太鼓で奏でる囃子に合わせ、25キロの米俵を農具などで持ち上げる技芸。明治初期に農民の間で広がり、神事や祭事などでの庶民芸能として伝承されてきた。県の民俗芸能50選に選ばれ、川崎市重要習俗技芸にも指定されている。
人気芸「御所車の蔵出し」「腹餅」披露
今回演じる技は、人を土台にしたはしごの上で米俵を持ち上げ演じる「御所車の蔵出し」と、あおむけの人の上に臼を置き餅をつく「腹餅」。いずれも迫力のある人気芸だ。
新型コロナの影響で、毎年3月に行う川崎市民俗芸能発表会や秋の新城神社祭礼での催しが中止となり、舞台で披露するのは約2年半ぶり。それでもこの間、会員は伝統を受け継ぐため週2日の稽古を続けてきた。
本番まで1カ月を切った1月22日、新城神社境内には会員約30人のうち半数が集結。約15分という本番の出演時間を想定し流れを確認した。千葉会長は「新城の囃子曲持の魅力を伝え、全国を沸かしたい」と意気込む。

囃子のリズムに合わせた技芸
危機にも思い強く
同会がこのまつりに出演するのは2011年以来11年ぶり。2度の出演は4団体のみ。当時、同じ舞台に出演した陸前高田市の郷土芸能団体が、直後に発生した東日本大震災の津波で道具が流される被害を受けた。「同じ志を持った仲間の危機を救いたかった」と、陸前高田へ寄付金を送った同会。今回も新型コロナで発表の機会が途絶える危機の中、会員らは伝統を後世につなぐ思いを強くする。
2011年、中学生だった井上孟(たけし)さん(26)は「前回のまつりでは裏方で支えた。今回は重要な役割を与えてもらった。先輩方が受け継いできた伝統を若い力でつなぐ」と気持ちを込める。
20日のまつりでは、なまはげ太鼓(秋田県男鹿市)、比婆荒神神楽(広島県庄原市)など9演目が披露される。
詳細は「地域伝統芸能まつり」で検索。当日の様子はNHK Eテレで3月20日に放送予定。