この連載は月1回、「ふたまたがわ歯科口腔外科」の中谷逸希院長が気になるお口のあれこれについてわかりやすく解説してくれるコーナーです
目の下や頬部のあたりが腫れていると感じたり、押すと痛むことはありませんか? また、悪臭を伴う鼻水、鼻づまり、頭重感などの症状があるときは「上顎洞炎(じょうがくどうえん」の可能性があります。
これは副鼻腔炎の一つで、一般的には蓄膿症といわれています。上顎洞に膿が溜まる蓄膿症は鼻が悪いのが原因と思われることが多いですが、むし歯や歯周病が原因で発症することもあり、それを「歯性(しせい)上顎洞炎」といいます。
上顎洞は、上あごの歯の根と近接しているため、歯科治療を放置していると歯性上顎洞炎になることがあります。鼻性であれば両側性、歯性は左右どちらかだけに症状が出ることが多いのが特徴です。症状の違いは原因となる歯に近いところが痛むので、鼻性と歯性で差が出ます。
診断にはレントゲンやCTを撮影し、鼻が原因であれば耳鼻咽喉科、歯が原因であれば口腔外科での治療が必要です。まずは感染源である歯の治療を行いますが、改善しない場合には、抜歯をして外科的に口腔内から上顎洞を洗浄し、膿を取り除かなければなりません。
歯性上顎洞炎は放置してしまうと自然に治ることはないので、早めに治療を行いましょう。長く蓄膿を患っている方や、気になる方はお近くの口腔外科に相談してみてください。