この連載は月1回、「ふたまたがわ歯科口腔外科」の中谷逸希院長が気になるお口のあれこれについてわかりやすく解説してくれるコーナーです
よく聞く帯状疱疹。身体の病気と思いがちですが、顔や口の中にも発症することがあります。幼少期の水ぼうそうの感染が原因で、神経の付け根に潜む水痘・帯状疱疹ウイルスが悪さをするとでてきます。普段は免疫力により活動が抑えられ発症することはありませんが、加齢・疲労・ストレスなどで免疫力が低下すると再び活性化され発症します。
顔や口の帯状疱疹は『三叉神経(さんさしんけい)』領域に好発し、顔の皮膚や口の中の広い範囲に、右側か左側のどちらかだけ神経の領域に沿って水ぶくれや口内炎が発生するのが特徴です。顔面から全身に回ることはなく、一度水ぼうそうにかかった事がある人にはうつることはありません。症状として、顔面の違和感やかゆみ、しびれだけでなく、強い痛みを伴うことが多く、針で刺されたような痛みから、焼けるような痛みまで様々です。
帯状疱疹は自然に治ることもありますが、治療が遅くなったり、放置したりした場合は重症化することがあります。その場合、失明や顔面神経麻痺、難聴、神経痛といった障害が残り、日常生活に支障がでる可能性も。
口内炎が急にたくさんできたことや、原因不明の歯の痛みがきっかけで受診され帯状疱疹がみつかることもあります。なるべく早く抗ウイルス薬を飲むことが大切です。気になる症状がある場合は、かかりつけの口腔外科にご相談を。