開成町金井島の酒蔵「瀬戸酒造店」(森隆信代表取締役)がこのほど、町内の水田で育てた酒米をだけを使用した純米吟醸酒「風の道」を完成させた。あじさいまつりに合わせて、6月4日から数量限定で販売される。
純米吟醸酒の銘柄は「風の道」で、酒米だけでなく、日本酒づくりに不可欠な酵母も開成町産で仕込まれた。これまで同銘柄には、岡山県産や兵庫県産の酒米を使用していたが、「開成町から世界一の酒をつくろう」という森代表の呼びかけに、米生産者の府川真啓さんが酒米づくりに手を挙げた。
酒米作りに3年間
原材料の酒米は、代表的な「山田錦」。穂の背丈が高く、倒伏しやすいなどの理由で栽培が難しいと言われている。府川さんは、飯米づくりで培った経験とネットで得た情報を頼りに3年前から山田錦の栽培をスタートさせた。
純米酒や純米吟醸といった特定名称酒に使用する酒米は、整粒や心白の発現率などを調べる品質検査で3等級以上が条件。府川さんは1年目から条件をクリアしたが、貯蔵タンクを満たすほどの収穫が得られなった。
寒暖差が品質に良いと聞けば、昼夜を問わず水の調整を行い、農作業の空き時間は、同酒造店で醸造過程を見学するなど、杜氏の求める酒米づくりに心血を注いだ。
「風の道」は、熟成が進むとまろやかになるといい、6月4日から販売する商品は4カ月ほど寝かせたもの。森代表が「フルーティーに仕上がった」と説明すれば、府川さんも「ブドウのようなテイスト感」と言葉を重ねる。
森代表は、来年以降も開成町産の酒米で風の道を仕込みたいとしたが「自然相手のことなので確約できない」と話す。府川さんは今月下旬にも山田錦の田植えを行い、酒米の供給に挑戦するという。
「風の道」は720ミリリットルが1834円(限定1千本)、300ミリリットルが763円(同2千本)。同酒造店(【電話】0465・82・0055/月〜水定休)、またはオンラインショップで購入できる。