この連載は月1回、「ふたまたがわ歯科口腔外科」の中谷逸希院長が気になるお口のあれこれについてわかりやすく解説してくれるコーナーです
口腔カンジダ症とは、カンジダ・アルビカンスというカビ(真菌)によりおこる口腔感染症です。舌や頬等の口腔粘膜に白い苔のようなものが付き、ピリピリとした痛みや味覚障害が出ることもあります。ちなみに、真菌は皮膚科領域で『水虫』とも言われます。
カンジダ菌は口腔内に常にある菌の一種で、健康人からも検出されます。普段は菌数が増えすぎないように他の菌と共存しています。しかし、免疫力が低下し、常在菌間のバランスが崩れカンジダ菌が異常に増殖すると口腔カンジダ症が発症します。
歯科医院で定期的なメンテナンスをされていない方や、義歯装着者などは口腔内が不衛生になりやすく特に注意が必要です。また高齢者は唾液量が減少することで自浄作用が低下し気付かずにカンジダ症をわずらっていることがあります。
治療には抗真菌剤の入ったうがい薬、ぬり薬、内服薬などを投与します。口腔内を清潔にして正しい治療をすることで、一般的なカンジダ症であれば比較的短期間で治癒します。しかし、ある特定のカンジダ症は難治性で、『口腔がん』との鑑別が非常に難しく、外科的切除により確定診断しなければならないこともあります。予防には、口腔内を清潔に保つことが第一です。義歯を入れている方でも定期的に歯科医院に受診し衛生状態チェックすることが大切です。