横浜市内各区を山中竹春市長が訪れ市民と対話する「市長と語ろう」が6月24日、ひびき金港町保育園で行われた。山中市長が市政の重点政策とする「子育て」をテーマに全18区を巡回するもので、今回は「医療的ケア児を受け入れている保育園」に焦点を当てた。
医療的ケア児とは、心身に機能障害があり呼吸や栄養摂取、排せつなどの際、医療機器やケアを必要とする子どもたちのことを指す。
市内は約2%
同園は1歳児から5歳児まで73人が在籍する中で、3人の医療的ケア児を受け入れている。現在、市内では1176の保育園が存在するが、医療的ケア児を受け入れているのは19園と約2%にとどまっているという。
全国的な背景としては、医療技術の発達によって救命率が上がるとともに、医療的ケア児の数も増加している。一方で、対応できる看護師や保育士は増加していないことから、受け入れ体制が不十分となっている。このような現状について、今回が保育現場の声を拾うための対話の場となった。
当日は、同園の職員や市の職員など10人ほどが参加。冒頭に遠藤明子園長が、同園に在籍する医療的ケア児の状態や、受け入れによって保護者の負担軽減につながっていることなどを説明。卒園後の小学校との連携の必要性や、医療的ケア児と同じ保育環境にいることでの相互理解のメリットなどにも触れた。
説明を受けた山中市長は、遠藤園長や園の職員らに質問。入園前後での保護者の変化や、受け入れを実施している園同士のつながりなどのほか、保育の現場が行政に求めることなどを聞いた。
また対話の途中には、胃に小さな穴をあけ腹部の管から直接栄養を摂取する胃ろうや、切開した気管からの痰吸引を実際に行う場面も。その間、ケアについて山中市長が具体的に説明を受ける様子も見られた。
密な連携続ける
山中市長は「対応強化へ向け、行政として検討しなくてはいけない点が多々あることを感じました。保育現場との密な連携を続けていくとともに、引き続き様々な意見を頂ければ」と話した。遠藤園長は「よりたくさんの人に医療的ケア児の存在を知って頂くため、今回のような機会はありがたい。受け入れ園増加などに向け、色んな課題を解決する第一歩になれば」と期待を込めた。