この連載は月1回、「ふたまたがわ歯科口腔外科」の中谷逸希院長が気になるお口のあれこれについてわかりやすく解説してくれるコーナーです
唾液を作る「唾液腺」の中や、唾液の通り道である「導管」の中に石(唾石)ができることがあり、それを唾石症と呼びます。ほとんどは顎の下にある「顎下腺」に生じ、砂粒大の小さなものから数㎝に及ぶ場合もあります。レントゲンやCTで偶然発見することもあれば、食事の時などに顎の下が腫れ激しい痛みが生じることでわかることも多いです。
唾石は唾液腺や導管の中に、歯石と同じ成分であるリン酸カルシウムが固まり石になることが原因です。少しずつ大きくなることで、唾液の流出障害を引き起こします。
無症状の場合や軽度の場合は経過観察となります。唾石が小さい場合や唾液の出口付近にできたものであれば、自然に口の中へ排出されることもあります。しかし、痛みや腫れを繰り返す場合は抗生剤などで炎症を抑えた後、手術による摘出が必要です。唾石ができた場所によって顎の下から唾液腺ごと摘出するか、口の内から導管を切開し唾石だけを摘出するか、内視鏡などを使用し摘出することもあります。
唾液の流出障害を防ぐためには唾液の分泌が大切です。唾液が少なくなると、唾石症だけでなく、歯周病や虫歯、口腔カンジダ症などの発症にもつながります。唾液をしっかり分泌できるようよく噛み、唾液腺マッサージなどを行うと効果的です。また、感染を防ぐためにも定期検診を行い口腔内を清潔にすることを心がけましょう。