横浜市瀬谷区の「かんとう幼稚園」は2021年に開園55周年を迎えた歴史と実績のある幼稚園です。この取材レポートでは、籾山英人園長に以下4点をインタビュー。「モンテッソーリ理論」を取り入れた教育方針、同園で働く先生ならではのやりがいなどをお伝えします。
半世紀の歴史を持つ幼稚園
環状4号線と中原街道の交差点から少し入った場所にある「かんとう幼稚園」は、学校法人籾山学園が運営する施設。昭和41年に設立され、これまでに多くの卒園生を送り出してきた歴史ある幼稚園です。現在の園庭は広々としていて多彩な遊具が並び、平成18年に完成したという新園舎は清潔感があります。
籾山園長は3代目園長として、平成31年4月に就任。姉妹園でもある「瀬谷中央保育園」の園長を長らく務めるなど、現場経験が豊富な園長先生です。「地域に開かれた幼稚園」を目指しており、ご自身も横浜市幼稚園協会や、地域の奉仕団体「瀬谷ライオンズクラブ」などの活動に励んでいます。
モンテッソーリ教育で『自立』と『自律』育む
「子どもたちが元気に成長するためには『自立』と『自律』が必要なんです」と籾山園長。
そのために同園が取り入れているのが、イタリア初の女性医学者であり教育者のマリア・モンテッソーリ(1870〜1952)が提唱した「モンテッソーリ教育」です。
1.子ども自身が自分の頭で考え
2.自分の体(感覚や運動器官)を使って
3.やりたいことを追求し
4.達成感や満足感を得ていく
このステップを繰り返すことが子どもたちの『自立』につながり、さらには『自立』を通じて自分を律すること=『自律』できる様になるそうです。
手先を使う造形で成長を
モンテッソーリ教育で重視している点が、自分の体(感覚や運動器官)を使うこと。そのために同園では、一年間を通じて手先を用いた遊びや造形に力を入れているそうです。
その成果の集大成と言えるのが、恒例行事という作品展。自画像や工作物が並び、なかにはトイレットペーパーの芯をつなぎ合わせたフラミンゴや、卵ケースでうろこを表現したワニなどが暮らす「ジャングル」を表現した共同作品も。その出来栄えにはとても驚かされます。
「一人でできるように手伝って」
同園には現在、20代~50代まで約20人の職員が在籍しています。
「子どもたちの『やってみたい』という気持ちを大切にしています」と籾山園長。
園児の意欲を引き出して、実現できる環境を整えること。これが同園の先生が果たす大きな役割だと言います。
子どもたちが誰かにやらされるのではなく、自分からやりたいことを見つけて熱中し、その達成感からまた新しいことにチャレンジしていく――。
この『成長のサイクル』を支えて見守っていくことがなによりのやりがいなんですね。
「やりたい」を引き出す職場
一日の保育でのエピソードを共有し合える、アットホームな雰囲気。「先輩の先生たちにも質問しやすく、明日も頑張ろうと思えます」と現役職員も話しています。
先生同士の「自主性」を尊重してくれるのもポイント。日々の保育計画から行事の企画まで、新卒からベテランまで各々の先生の「やりたい」を話し合い、実践していくそうです。
「新卒の先生たちには新しい発想がありますし、ベテランの先生の経験と知識も欠かせません。それらが融合すれば、すごく良い保育ができるはずなんです」と籾山園長は強調します。
「幼いころからの夢を叶えて」
籾山園長が就職面接で志望動機を聞くと、自分が通っていた幼稚園の先生が好きで、ずっと仕事に憧れていたという人が多いそうです。
「幼いころから抱き続けた夢をあきらめて欲しくないんです」と籾山園長。「ぜひその夢をかなえて欲しいですし、その職場が当幼稚園であればとても嬉しいこと。ぜひ一緒に仕事をしませんか」と呼びかけています。