二酸化炭素(CO₂)排出量の削減につながる川崎発の製品・技術などを認定する「低CO₂川崎ブランド」。2022年度の大賞に、花王株式会社川崎工場(川崎区)の衣料用濃縮液体洗剤「アタックZERO」と、株式会社タマック(多摩区)のゼロエネルギー住宅「Vita-Z」の2製品が選ばれました。その他にも、8件の製品・技術、サービスを認定。今回は低CO₂川崎ブランド❜22に認定された全10件について、一つずつ紹介していきます。
【目次】
●その1:テレビCMでおなじみ。独自開発の界面活性剤「バイオIOS」で高い洗浄力を実現した濃縮液体洗剤!【大賞受賞】
●その2:創エネと省エネによるエネルギーの自給自足を実現した注文住宅!【大賞受賞】
●その3:最大約25%のCO₂排出量削減!高度な冷却制御機能を有する厚鋼板製造技術!
●その4:大量廃棄に一石を投じる。捨てずに永く使い続けられるオフィス用椅子!
●その5:ドップラー効果を利用し方位情報を提供!
●その6:地球温暖化係数の低い冷媒R32を採用した熱源機!
●その7:廃棄物に新しい命を!焼却・埋立を回避するリサイクル選別処理
●その8:植物由来のポリエチレンを使用したエアー緩衝材!
●その9:自社板金加工で発生したのステンレス端材を活用したアウトドアグッズ!
●その10:製造時のCO₂を削減した道路舗装に使用されるアスファルト合材!
●「低CO₂川崎ブランド」事業とは?
その1:テレビCMでおなじみ。独自開発の界面活性剤「バイオIOS」で高い洗浄力を実現した濃縮液体洗剤!【大賞受賞】
花王株式会社川崎工場(川崎区)の衣料用濃縮液体洗剤「アタックZERO」
食用油を採取した後に残る、固体油脂を有効活用し開発したサステナブル界面活性剤「バイオIOS」を採用。高い洗浄力により洗濯1回あたりの洗剤使用量を削減し、製品の濃縮化によるプラスチック使用量の削減や輸送効率の向上等により、CO₂を削減しています。
その2:創エネと省エネによるエネルギーの自給自足を実現した注文住宅!【大賞受賞】
株式会社タマック(多摩区)のゼロエネルギー住宅「Vita-Z」
2×6工法の採用により、完全自由設計の注文住宅でありながら、北海道の断熱性能基準(UA値0.46)を上回るUA値0.38を達成。床・天井・窓などの断熱性能を向上させ、高い省エネ性能を実現しています。太陽光発電システムを標準搭載することで、エネルギ―の自給自足を実現しており、CO₂の削減に大きく貢献しています。
その3:最大約25%のCO₂排出量削減!高度な冷却制御機能を有する厚鋼板製造技術!
JFEスチール株式会社東日本製鉄所(京浜地区)(川崎区)の高機能冷却設備Super-RQによる厚鋼板製造技術
高度な冷却制御機能を特徴とする厚鋼板製造技術は、従来よりも高い強度である建築構造用鋼材「HBL®630」やダンプボディ用薄物広幅摩耗鋼「EVERHARD®-C450LE」などの製造を実現しました。最終製品の製造に必要な鋼材の量を削減でき、従来の製造技術と比較して最大約25%のCO₂排出量を削減しています。
その4:大量廃棄に一石を投じる。捨てずに永く使い続けられるオフィス用椅子!
株式会社秀光(幸区)のSUSTAINABLE CHAIR「SPIN」415S(カバーML)
壊れたら捨てる消耗品ではなく、壊れたところを交換するというコンセプトで、オフィス家具の廃棄物削減に貢献しています。また、各部品は簡単に取り外しでき、ユーザーによる組立・部品交換を可能にすることで、修理等に係る輸送コスト及びCO₂を削減しています。
その5:ドップラー効果を利用し方位情報を提供!
東芝インフラシステムズ株式会社小向事業所(幸区)の海外DVOR装置(TW4133)
海外DVOR装置は、ドップラー効果を利用した電波で、航空機に方位情報を提供する装置です。空港及び航空路における無線標識施設として、航空機の安全で効率的な運航のために重要な役割を担っています。高周波回路の基板実装技術と信号処理技術を駆使し、同社従来製品と比較して大幅な小型化と省エネ化を実現しており、CO₂を削減しています。
その6:地球温暖化係数の低い冷媒R32を採用した熱源機!
東芝キヤリア株式会社(幸区)の空冷ヒートポンプ式熱源機「ユニバーサルスマートX EDGE32シリーズ」
商業施設や宿泊施設、医療福祉施設など様々な施設で導入されている熱源機。低環境負荷冷媒R32を採用するとともに、世界最大容量のDCインバータツインロータリーコンプレッサーを搭載。使用時のGHG排出量や冷媒の処理に係る負荷の低減によるCO₂排出量を削減しています。
その7:廃棄物に新しい命を!焼却・埋立を回避するリサイクル選別処理
日本ダスト株式会社(川崎区)の廃棄物に新しい命を吹き込むリサイクル選別処理
混合廃棄物の収集運搬・中間処理サービスで、通常では分別困難な廃棄物を積極的に回収し、自社工場で解体・分別しリサイクル化を実現しています。焼却や埋立によって処分される廃棄物を削減することで、CO₂排出量を削減しています。
その8:植物由来のポリエチレンを使用したエアー緩衝材!
株式会社ネクサスエアー(多摩区)のバイオマスエアー緩衝材
バイオマスエアー緩衝材は、サトウキビの廃糖蜜(砂糖を採取した後の残りかす)を原料としたポリエチレン製の緩衝材です。専用の装置で空気を充填することで、必要な場所で緩衝材の製造が可能になります。また、サトウキビ原料を使用することで、焼却時に係るCO₂を最大約21%削減しています。
その9:自社板金加工で発生したステンレス端材を活用したアウトドアグッズ!
日崎工業株式会社(川崎区)のアウトドアグッズ「Kumpelシリーズ」
自社内での板金加工の過程で発生したステンレスの端材を一部使用したアウトドアグッズ。焚き火台のほか、オイルランタン・LEDライトを活用した様々な製品を展開しています。ステンレスの原材料調達に係るCO₂を削減するとともに、製造に必要な電力を社屋に設置している太陽光発電システムから賄うことで電力調達量を削減しています。
その10:製造時のCO₂を削減した道路舗装に使用されるアスファルト合材!
前田道路株式会社(川崎区)の低炭素合材
道路舗装で使用されるアスファルト合材で、蓄熱燃焼式脱臭炉の導入により、製造時の排ガス処理に係るCO₂を削減しています。加えて低炭素な製造手法として、RE100電力・CO₂排出の少ない燃料を使用しています。また、中温化技術(LEAB)を活用した製造温度の低減により、さらにCO₂の削減を可能としています。
レポート後記
全10件の「低CO₂川崎ブランド」はいかがでしたか?なじみが薄く専門性の高い製品もあるかもしれませんが、どれも私たちの生活を支えてくれる大切なものです。市内企業で働く皆さんの努力や工夫によって、あらゆるところからCO₂排出量が削減されていることに驚きます。気になる製品があったら、認定企業のホームページなどで詳細をチェックしてみてください!
「低CO2川崎ブランド」事業とは?
川崎市、川崎商工会議所、市産業振興財団などで構成する低CO₂川崎ブランド等推進協議会が実施し、2022年度で14年目を迎えます。これまでに認定されたのは、126件となりました。担当者は「事業者の持つ優れた環境技術は川崎の強みです。この制度を利用して広くPRしていきたい」と話しています。