日本初となるEQを育む学童保育が誕生
川崎市の宮前区内で4つの保育園を運営している㈱SCOPS=森川慶代表取締役(37)=は来春、こころの力=EQを育む日本初の学童保育を鷺沼駅前にオープンさせる。森川代表にこれまでの道のりとEQ保育について聞きました。
子どもの笑顔が原点
森川代表は3人兄弟の末っ子として千葉県佐倉市に生まれました。小学校の卒業文集で「社長になる」と公言したものの、「何の目標もなく大学に通っていた」。
そんなある日、徹夜で麻雀をして負けて猛省。そのまま寝ないで本屋が開く朝まで待って本屋へ行ったそうです。手にしたのは「保育士」の資格本でした。「宅配すしのバイトをやっていて、届け先の子どもの喜ぶ顔が思い浮かんだ」。保育士を志すことを決めたきっかけは「子どもの笑顔」だったのです。
就職、そして独立
保育士の職場は女性が多く「最初は恥ずかしかった」。
計4園で担任や園長を歴任し、イタリア・オランダでの海外研修を経て、徐々に保育の楽しさや専門職としての深みを知ったそうです。森川代表は次のステップとして「子ども主体の保育」を目指そうと、「見守る保育」実施園で半年間勤務した後、奥さんと2012年に株式会社SCOPSを創業しました。会社名は、介護職員も含んだ立ち上げメンバーと居酒屋で議論し、「子ども・お年寄りの「心からの笑顔」が見れた時のサービスが判断基準になると考え、「全ての人に心からの笑顔を届ける」という意味でSCOPS(Smile Child Old Parents Staff)という名前に決めたそうです。
「ここを通るなら合言葉を言ってください!」
「わかった! 合言葉は かぞく しあわせ!」
これは最近、森川代表の長女が弟と遊びの中で言っていた言葉だといいます。
「開園前後の非常に忙しかった時期に、子どもたちを自分たちの園で見ながら働いていました。2人に関わる時間もほとんど取れず、寝かしつけられるのが早くて22時30分という日々が続きました。子どもの言葉に耳を傾けたり、気持ちに寄り添えなかったこと、心にゆとりが持てず、自分の都合を優先したことなど沢山の反省が思い浮かびます」と独立当時を回顧。「それでも子どもたちは親を無条件で信頼してくれ、愛してくれます」とほほ笑む。趣味のキャンプは家族との貴重なふれあいの場になっているそうです。
宮前区で節目の10年
宮前区内で10年間、今では4つの園を運営しています。
自身が求める保育として「怒らず叱らず伝える保育」を確立。EQの資格取得を機に、「その子がその子らしい保育」へと進化しているそうです。「どの園も小規模な定員数のため、ゆとりある職員配置、一人一人に寄り添い、気持ちを受け止める保育を行うことが出来る」と特長を話します。
「幸せな子どもから幸せな社会を創る」
森川代表が考える子どもの幸せの定義は、「その子がその子らしいこと」「やり抜けること」「人と自分どちらも大好きなこと」といった子どもの姿。「こういった幸せを実現させるためには0歳~12歳までの子ども時代に、それぞれの段階ごとに大切な力を身につけていく必要があります。そのためには私たち大人がどのように関わるかが非常に重要なカギとなります」と思いを話します。
その実現のために必要なのがEQであり、自身も国際認定資格を保持。「EQは心の知能指数と言われ、感情のコントロールや良好な対人関係を築く力、やり抜く力など将来にわたって重要な力となります」と力説する。
夢は「満ち足りた幸せな子ども時代を届けることで、その子どもたちが将来大人になった時に、一人一人が幸せな人生を歩み、幸せな社会づくりに貢献してもらうこと」。モットーは「過去と他人は変えられない。自分と未来は変えられる」。何度反省してもいい。昨日より少しでも子どもを受け止められれば、昨日より少しでも子どもを責めないでいられれば、昨日より少しでも子育てが楽しめれば―。
最後に「私たちと共に幸せな子どもから幸せな社会を創っていきましょう!」と抱負を語ってくれました。