この連載は月1回、「ふたまたがわ歯科口腔外科」の中谷逸希院長が気になるお口のあれこれについてわかりやすく解説してくれるコーナーです
「嚢胞」とは身体の中にできる袋状の病変で、さまざまな場所にできます。顎口腔領域では嚢胞ができる頻度が極めて高く、顎の病気の中でも3分の1程度が嚢胞といわれています。また、身体全体をみても顎口腔領域に発生することが一番多いのが嚢胞という病気です。
口腔外科が扱う嚢胞には顎の中にできるものと、唇や頬などの柔らかい場所にできるものの2種類があります。嚢胞はゆっくりと大きくなるため、痛みなどの自覚症状が少ないか、全くないため、歯の治療などでX線撮影を行なった際に偶然見つかるケースが多くあります。顎の嚢胞を発見するにはX線検査やCT検査が必須です。定期的に歯科検診やX線検診を行い異常がないかを調べるのが大切です。
嚢胞はさまざまな原因でできますが、日常的に多く遭遇するのが虫歯などが原因でできる歯根嚢胞や、唇などが傷ついてできる粘液嚢胞といわれる嚢胞です。嚢胞は悪いデキモノではないので、原因を除去し適切な治療をすれば完治します。
嚢胞が見つかった場合は、一般的な歯科治療で治癒することもありますが、大きさや部位によっては治療が難しい場合もありますので、気になる症状がある場合はかかりつけの口腔外科までご相談ください。
また、次回以降で嚢胞の中で多く遭遇する歯根嚢胞と粘液嚢胞について詳しく説明していきますのでお楽しみに。