槌谷 恵美(つちや・めぐみ)さん
茅ヶ崎市本村在住。東京都荒川区生まれ。千葉県、東京都、神奈川県(大和市など)での暮らしを経て、茅ヶ崎に移住。ご主人と長女(小6)、長男(小4)の4人暮らし。システムエンジニア・プログラマーとして様々な会社での勤務を経験。現在は、茅ヶ崎駅北口に湘南オフィスを設ける株式会社イノベーター・ジャパン発の&donuts(アンドーナツ)プロジェクトのメンバー。Webディレクター・RPA*エンジニアとして活躍されています。
*RPA(Robotic Process Automation)とは、デスクワーク(主に定型作業)をPCの中にあるソフトウェア型のロボットが代行・自動化する技術。
懐かしさとゆったりとした空気感に惹かれ、茅ヶ崎へ移住
槌谷恵美さんの茅ヶ崎暮らしは2011年から。一足先に槌谷さんのご両親が茅ヶ崎に住んでいたこともあり、移住前から浜降祭やサザンビーチの花火大会に来ていたそう。当時の茅ヶ崎の印象は「ずっと昔から知ってたみたい」。どこか感じる懐かしさとゆったりとしたまちの空気感を家族も気に入り、茅ヶ崎市への移住を決めました。
茅ヶ崎暮らしは11年を超え、定番となっている休日の過ごし方は家族全員で海岸までのサイクリング。「海岸のヘッドランド(Tバー)までは自転車で10分ほど。思いついたら気軽に出掛けられる距離感がちょうど良い」と言います。また、夫婦でアウトドア好きなこともあって、海岸ではBBQをすることもあるそう。ときには、家族だけでなく、移住してすぐに仲良くなったご近所家族を誘って大勢で楽しむことも。
「こうして賑やかに過ごすのもいいけど、ぼーっと海を眺めているだけでも気持ちいいですね。あと、サーファーを見ていると昔やっていたボディボードをまた始めたくなります。娘と一緒にやりたいな」
近所に住むご両親は茅ヶ崎暮らしの大先輩で、そろって食事に出掛けることもあるそう。
一番のお気に入りのお店は”スタミナ炭火焼肉とき(円蔵)”。「昔ながらの落ち着いた佇まいですが、ほんとに何を食べても美味しい!」と絶賛します。ほかにも、あさり冷麺が特に一押しという”炭火焼肉ホルモンマルホ(共恵)”は娘さんのお気に入り、炙りロースなどここでしか食べられないメニューがたくさんある”焼肉光湘(高田)”など、たくさんの焼肉屋さんの名前を挙げ「焼肉、特にホルモンが好きなんです」とはにかみます。
茅ヶ崎駅南口はおしゃれな飲食店が多く、現在開拓中とのことで「普段はどこでランチしてるんですか?」と私たちが逆インタビューされる一幕も。
移住してから気付いたのは、茅ヶ崎にはパワフルな人が多いこと。「茅ヶ崎に長く住んでいる人って、お神輿を担いだり自分でイベントを企画したり、とにかくパワフルですよね!」。自分たちで地元・茅ヶ崎を盛り上げようとしている姿が印象的だったそう。かくいう槌谷さんも「子育てがひと段落したら、地域コミュニティに参加してみたい。いずれは私もおばあちゃんになるから、高齢者が生きがいを持って働くことができる場所や元気に過ごせる場所を作りたいな」とパワフルな意気込みを語ってくれました。
こんな槌谷さんにも、出産・子育てという人生の大きなイベントを経験し、ライフステージの変化と仕事の両立に悩み続けた過去がありました。
Webのものづくりへの興味がきっかけ。文系学生がエンジニアを目指す
現在のお仕事はWebディレクターとRPAエンジニア。その原点は大学生のときだと言います。
「情報・工学を専攻する理系学生…ではなく、実はWebとは無縁の経営を学ぶ文系の学生でした。千葉県にある大学までは片道2時間!行くだけでクタクタ」と通学には苦労したようですが、当時熱中していたHIPHOPダンスのサークル活動に参加するために乗り切ったそう。サークルではイベントの告知ページの作成も担当。それがWebの“ものづくり”に興味を持つきっかけとなり、将来の仕事としてシステムエンジニアを目指すようになりました。
卒業後は希望通りシステムエンジニアとしてキャリアをスタートさせます。が、最初は聞き慣れない専門用語や未経験のプログラミングに大苦戦。研修では「この仕事に向いてないんじゃないか?」と思うことも。「毎日必死だったなぁ」と当時を懐かしむような表情を見せます。
エンジニアとして、母として。ライフステージの変化で悩んだ働き方
苦労しながらも着実にキャリアを重ねていた頃に、私生活でも結婚・出産を経験。当時勤めていた会社で初めての取得となった育児休暇と時短勤務制度の活用、家族のサポートによって出産後1年半で職場復帰しました。お子さんは保育園に預けることはできましたが、小さな子どもには予期せぬ事態がつきもの。通勤中に保育園から「発熱しました」と連絡を受け、慌てて引き返すこともあったそう。勤務先が遠かったこともあり仕事に携われる時間が限られてしまうことに。「2人の子育てを続けながらこのままこの会社で働くのは難しかった」と槌谷さん。
そこで子育てしながらの仕事を考え、転職することに。転職先を探すにあたっては、子育ての時間が確保できることとシステムエンジニアのキャリアを生かせることを念頭に置いたそうです。
条件に合う会社が見つかり転職したのは2015年。「当時は先進的だったフルリモートの会社にWebプログラマーとして勤めることになりました。自宅での仕事は子育てに融通が利くかと思ったのですが、フルタイム勤務だったこともあり、子どもを寝かしつけた後も仕事をしないといけない状況で。結果、仕事と家庭のバランスが乱れて、イライラしてしまうことも…。そんな私の姿を見た子どもも落ち着かない様子でした」
「これではいけない!」とふたたび転職を決意。2017年に今度は平塚市にある会社でパート勤務のプログラマーに。「パートで時間もきっちりしていたので、生活と仕事のメリハリはつきました。でも、今度は立場もあって仕事内容が限られてしまって…。昔ながらの社風が自分に合わないなと感じることもありました」
苦労して身につけたスキルと経験があるからこそ、それを生かして仕事がしたい。けれど、家庭と仕事のバランスが難しい。性別を問わず、ライフステージの変化を経験したことで、同じ悩みを抱えるようになった方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
ウェルビーイングな社会の実現を目指す&donutsプロジェクト
2020年、槌谷さんは現在の勤務先であるイノベーター・ジャパンの&donutsプロジェクトを知ります。それは「本当に自分のやりたい仕事が出来ているのか」とまさに葛藤していた時だったそう。
イノベーター・ジャパンのパーパスは“人の可能性を最大限に引き出しウェルビーイングな社会を実現する”こと。出版業界などのクライアントのDXを支援して、このパーパスを実現するプラットフォームが“&donutsプロジェクト”。また、&donutsの理念は“働くことに制限があるけれど高いポテンシャルを持つ人材が安心して活躍できる場の創出”。
「そうした理念が私にすごく刺さって。やりたいことを諦めなくていい。今までの経験やスキルを生かせる。さらに、茅ヶ崎オフィスも自宅から近くて、家庭の時間も大切にできる。絶対に入社したいという気持ちでいっぱいでした」
そうして念願叶い入社すると「チャレンジさせてもらえるなら成長を!」と気持ちをあらたにした槌谷さん。Webメディアの運用業務を担当しながら、RPAエンジニアの上級資格を取得し、活躍の場を広げていきます。さらに、2022年10月には新たにWebディレクター職にも就任。タスク管理や判断を求められる場面が増えて責任も重くなったそうですが、サイトの運用だけでなく、よりお客様の近くでプロジェクトを提案・管理するディレクターの新しい仕事にやりがいを感じているそうです。
仕事の合間にはスタッフとの子育て話が尽きない様子。「&donutsには私以外にも子育て中のスタッフがいます。子どもの世代も違うので、経験談や悩み事を相談しあうことも。普段から家庭のことを話せているので、急に家庭の都合があっても事情が分かります。だから、仕事の調整がスムーズになっています」
家庭・仕事とはっきり区別するのではなく、それぞれが調和しているような状況は槌谷さんにとって働きやすく、過ごしやすい環境なのでしょう。
キャリアを諦めないために新しいことへのチャレンジを続けたい
槌谷さんが仕事で大切にしているのは“チャレンジすること”。「ずっと同じ仕事をしているだけでは、スキルアップもキャリアアップもできないと思っていて。ただ働き続けたいだけじゃなくて、新しいことに常にチャレンジし続けたいんです」と力を込めます。
出産・子育てのライフイベントを経験し、仕事と家庭のバランスに悩まれていた時期もありましたが、自分の目標を明確に新しいことへのチャレンジを続けていたからこそ今の理想と思えるキャリアに辿りつけたのではないでしょうか。
さらに、会社には感謝の言葉も。「&donutsは自己実現ができるありがたい場所です。私のキャリアを評価してくれて、チャレンジする場も与えてくれる。会社の理解があるからこそ、キャリアを諦めずに仕事が続けられています」
最後に、家庭で大切にしている槌谷家のルールを教えてくれました。「夫がリモートワークになったので、家族揃って夕飯を食べる機会が増えました。夕飯タイムは全員で“今日の報告会”。そうすると自然と仕事の話になったりして、家族も私の仕事をとても理解してくれています」。
お年頃のお子さんたちも学校であったことなどの話をしてくれるそうで、なんとも楽しそうな様子。聞けば、息子さんの将来の夢は“ゲームクリエイター”。もしかして、槌谷さんの仕事に興味を持っているのでは?と聞くと「意識してくれているんですかね?だったら嬉しいな」と少し照れた表情を見せてくれました。さらに、「実は娘が#ちがすきを知ってたんです!今日の取材はさっそく自慢しちゃいました(笑)」と満面の笑顔。
「記事のできあがりがとっても楽しみ。その日の夕飯の話題に決まりですね」
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■焼肉光湘