見栄えの悪さや下処理が厄介なことから市場に流通しないサメやエイなどの「未利用魚」と形状や採れすぎなどの理由で出荷できない「規格外野菜」の活用に、横須賀市内の飲食事業者と漁師、農家が取り組んでいる。
地域の農林水産物を活用して継続的なビジネスの創出をめざす農林水産省の「ローカルフードプロジェクト」の一環。神奈川県の事例として、「たのし屋本舗」の下澤敏也さんが発起人となって事業参画している。
一次産業の中で、特に問題視されているが東京湾・相模湾の漁獲量の低迷。気候変動や海流の変化などを背景に、地元の海の水産資源が枯渇化へと進んでいる。
そこで、これまで食用として敬遠されてきたサメとエイに着目。ヒラメ漁などの際に一緒に網にかかるケースが多々あるが、鮮度が落ちると特有の強いアンモニア臭を放つことなどからその場で海に廃棄されていた。これを調理や加工の工夫で有効活用していく。サメとエイが獲れた直後に船上で丁寧に下処理を行い、手間暇をかけて食材としての価値を高める。
手始めに、淡白でやわらかな肉質の身の部分をすり身にし、野菜の端材を加えてから油で揚げて「すり身揚げ」に。エイの軟骨がコリコリとした独特の食感を生み出すという。
下澤さんらは、サメとエイのワイルドな風貌から「モンスターフィッシュ揚げ」と命名。地場の鯛を用いた出汁を吸わせた大根と合わせた「おでん」のほか、すり身と豚ひき肉を合わせた「ソーセージ」の開発を進めている。現在、商品化をめざしてクラウドファンディングを「キャンプファイアー」のサイトで展開中。試作品=下写真=を返礼品としながら新名物づくりに挑んでいる。