東日本大震災から12年。「震災を忘れないでほしい」と話すのは、震災発生翌月から現在に至るまで、石巻市などの被災地支援を行っている梅原雄蔵さん(湯河原町土肥・75歳)。被災地から持ち帰ったヒマワリを育て、その苗の配布を続けている。
震災発生を聞き、梅原さんの心に浮かんだのは、学生時代に東北を旅行した時、温かく迎えてくれた石巻市の人たち。翌月から支援活動を始め、これまでに50回以上、被災地を訪れ、がれきの撤去などを手伝った。同時に被災状況や復興の様子を撮影し、真鶴町で写真展を開催してきた。また、石巻市からヒマワリを持ち帰り、自宅で育てた苗を無料で配布する活動も続けてきた。
毎年500ポットを育て、5月頃に近隣住民に配布するほか、湯河原や真鶴の小中学校などにも寄贈し、ヒマワリが咲くとその花を受け取り、種をまた梅原さんが育てる循環が生まれた。
コロナ禍になり、被災地へ赴く活動は中断、苗の配布も人が集まるのは問題と中止を余儀なくされ、「もう配布をやめようか」と考えたことも。友人に「やめたらだめだよ。待っている人が絶対にいる」と励まされ、無人で配布できる場所も探してきてくれたという。2023年も5月に自宅、宮下会館、ちきゅうや(宮上)の3カ所で配布を行う予定で、被災地にも行くつもりだという。梅原さんは「本当の復興は、暮らしがもとに戻ること。続けていきたい」と思いを語った。