相模原をはじめ神奈川県央エリア、多摩エリア在住民におなじみ
午後の4時から人が集まる。何だこの店は
店舗の前を通るたび、たくさんの人が外で待つ姿を見かける。しかも土日になると午後4時くらいから人が集まり始めている。このご時世に何だこの店は?そもそも「味ん味ん」って何て読むんだ?
そんな「みんみん」未体験の方に、店の内容を紹介する。地元民(私)によるグルメレポートだ。
平日は午後5時、土日は4時30分の開店。来た人から順に発券機で番号札を発行し、満席の場合はその順に呼ばれ入店する。なので、「待ちたくない」人は開店前から集まりだす。開店直後に満席になることは「当たり前」という。
入店すると「2時間以内でお願いします」という張り紙が。さすが人気店。2時間という限られた時間を、たくさんの人に楽しんでもらいたいためのことだろう。
タッチパネルでサクサク注文
席に着くと「注文はタッチパネルでお願いします」と店員さんが案内する。タッチパネルは商品写真があり、ジャンル別にもなっているのでわかりやすい。サクサク注文できるので思わず「数」「量」は増えてしまいそう。アレルギーの成分表示もあり、これならみんなが安心して食べられそうだ。
さて、今日は何から頼もうか。壁に張られている「推しメニュー」は「豚ホルモン」「千切りキャベツ」「石焼キムチチーズリゾット」など。常連は「味ん味んはサイドメニューがうまい」とよく言う。
まあ、まずは肉だ。とりあえず牛肉は「和牛上カルビ」「ハラミ」「和牛肩サンカク」「牛タン(ネギ塩トッピング)」を、豚肉は「豚ホルモン(いわゆるシロコロ。他に「元祖」というコリコリ系もある)」を、鶏肉は「ヤゲン(トリ軟骨)」を注文。ビールは「プレモル」(プレミアムモルツ※一部店舗は異なる)。490円(税込539円)と良心的な価格だ。
七輪が食欲を刺激
テーブルには炭火たっぷりの七輪が置かれている。やっぱり焼肉と言えば炭火だ。オレンジの炎の塊を見ているだけで食欲が増してくる。早速届いた肉をトングで置いていく。赤い肉がみるみる色を変え、タレが炭火にしたたり落ちると、焦げた香りがさらに食欲を刺激する。
店員さんは「しっかり焼いてから食べてください」と言っていたが、焼き過ぎには注意したい。
肉を次々と焼いていく。抜群の安定感で今回も、どれも美味い。タレが甘すぎないところもいい。店員さんは小まめに気を使ってくれ、「網の交換は何度でも」とやさしく声をかけてくれる。もちろんロボットではない。若者たちがテキパキと動いており、店に活気を与えている。雰囲気の良さはそういった点から醸し出されているのだろう。
A4、A5ランクの和牛上カルビが790円
メニューをよく見てみると1,000円以上の商品がない。和牛上カルビはA4、A5ランクのみを使用というが何と790円(税込869円)。A4、A5は5等級あるうちの文字通り最上位とその次の位。相場では「1,000円は超える」ものだろう。そう言えば店舗の入り口に「店主はうまいものをいかに安く提供するかしか考えていない」などというメッセージがあった。有言実行とは、まさにこのことだ。
太っ腹!グレープフルーツ1個分
ということで、今日も肉はどれも美味かった。この間、ビールは2杯。そろそろ違うお酒に切り替える。お気に入りの「生グレープフルーツサワー」は、グレープフルーツが半分でなく1個分。こういうケチケチしない感じが良い。社長はきっと太っ腹なのだろう。
すべて手作り。自信のサイドメニュー
では、そろそろ評判のサイドメニューへ。「すべて手作り」と謳っているが、確かに他店と差が付くとしたらこの部分かもしれない。肉は質を上げればどこの店も美味くできるが、サイドメニューは違う。出来合いのものなら「そこまでの味」で、手作りにこだわれば店舗側の負担は増すが、美味の追求は可能だ。
味ん味んが選んだのは間違いなく後者だ。それはテーブルに届けられた際の、商品の印象ですぐわかる。ファミレスのような「整いすぎた」美しさでは少し劣るが、いい意味で手作り感が伝わってくる。口にするとどれもアツアツやシャキシャキでなかなか箸がとまらない。特に「盛岡冷麺」はさっぱりとしたタレに上品さがあり、麺もシコシコの本場物で最高だ。
コスパ最強じゃん!
入店しおよそ1時間半。さすがに満腹になり会計へ。そこで金額を見るといつも「え!」とビックリ。ほっとするほど「安い」。あれだけ「美味い」と思える上質な肉やメニューを食べて飲んでこの価格。「コスパ最強」とはこのことだ。なお、会計はクレジットカードやQRコード決済も対応している。
30年 努力にリスペクト
平成6年(1994)、相模原市の田名に開店した味ん味んは現在、24店舗。多くの飲食店が「苦戦」を強いられる時代にここまで拡大、成長した店は珍しいはずだ。ただ、一度足を運んでみればその秘密がわかるはず。上質な肉、丁寧につくられたサイドメニュー、活気ある雰囲気、そしてコスパ。お腹いっぱいになり扉を開けて外に出たら、思わず「美味しかった。また来たいね」などと自然と口にしてしまう。
かつて「3日に2回は行く」という超人がいたというが、それは極端でも「3週間に1回」は行きたい。変らぬ美味しさは、きっと変わり続ける努力にあるはず。その努力があっておよそ30年、市民の食欲を十分に満たし続けてくれている。味ん味んはリスペクトの域にある。