障がいの有無や年齢問わず車いすバスケットボールを楽しめるように、神奈川県の大磯町や秦野市などの湘南西部エリアで体験会やスクールを実施している湘南西部スポーツクラブ。
代表を務める安藤岳彦さん(46)は普段は理学療法士としてリハビリ施設に勤務しています。安藤さんが車いすバスケと出会ったのは東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定した2013年。
理学療法士の立場として地域に貢献したいという思いからリハビリ専門職に向けた体験会を企画し、実際に車いすバスケをプレーすることでその奥深さに魅了されたそう。「車いすに乗って試合が始まると、障がい者も健常者も関係なくなる。運動が得意な人でも車いすを乗りこなすのは苦労するので、一筋縄ではいかないところが面白い」とキラキラした目で語りました。
車いすバスケットボールとは
パラリンピックの競技にもなっている車いすバスケットボール。1チーム5人で通常のバスケットゴールと同じ高さのゴールを用いて試合が行われ、得点を競い合います。
特徴はクラス分けがされていること。車いすバスケットボールの選手は、障がいの重い人から順に1.0から4.5点の持ち点が定められています。試合参加者5人の持ち点の合計を14.0点以内に収める必要があり、障がいの軽い選手だけでチームを組むなどが起きないように公平性が保たれています。
湘南西部スポーツクラブの魅力
初心者でも気軽に車いすバスケを楽しむことのできる場を提供している湘南西部スポーツクラブは、実は神奈川県厚木市を拠点に活動する車いすバスケットボールチーム「湘南スポーツクラブ」の下部組織に位置します。
スクールでは湘南スポーツクラブに所属する経験豊富な選手が講師を務めるので楽しみながらしっかりと技術を身につけることができます。
また、代表の安藤さんをはじめ、スタッフには障がい者スポーツ指導員やリハビリ、介護の資格を持った方も多いので、一人一人に合わせた丁寧な指導を受けられます。
車いすバスケスクール大磯校初日レポ
車いすバスケスクール大磯校は2023年5月14日に大磯町立国府小学校(神奈川県中郡大磯町月京18の1)の体育館で開催されました。参加人数は28人。
参加した方に話を聞くと「以前の体験会に参加して楽しかったのでスクールにも来ました」、「友達に誘われてきました」といった声が。
最初は自己紹介から。
輪になって自分の名前を伝えます。それではさっそく練習スタート。車いすを前進、バックさせたりその場でターンします。次にボールを使ってパスやドリブルの練習をします。講師の方は皆優しく教えてくれるので、初めてでできるか不安な方も安心して参加できます。
続いて、シュートの練習。
体力や年齢に応じてフラフープを使うなど工夫するため、一人一人に合わせた高さでチャレンジできます。
やったね!見事ゴールを決めました。
基礎を身につけたら次はいよいよ試合です。
時間は3分間、緊張感が走ります。
どっちのチームも譲らず、接戦にもつれ込みました。残り10秒で見事ゴール!会場には拍手があふれました。
試合が終わると、自由時間に。
体育館で車いすバスケの練習を各自好きなように取り組みます。また、車いすバスケ以外の競技の体験もできます。この日はボッチャとコーンホールを体験。「選択肢を設けることで、『自発的に選んで取り組む』という体験ができるように工夫しています」と安藤さん。
この日参加した自閉スペクトラム症の飯塚翔平さん(秦野市南ヶ丘小3)は、「車いすが勢いよく進むところが楽しい」と笑顔を見せました。
母親の美穂さん(43)は「チームで取り組むスポーツの習い事は初めてで、新しい環境になじめるか不安だった」と話します。「今まで運動が得意でなかったけれど、すっかり車いすバスケにはまってしまいました。スタッフの方が丁寧にゆっくり教えてくれたおかげです」と話しました。
安藤さんは「今回たくさんの方が興味を持って、足を運んでくれたことが本当にうれしい。誰もが気軽に車いすバスケを楽しむことができるようにこれからも励みます」と語りました。
- 車いすバスケスクール大磯校は毎月1回行われます。見学も大歓迎!何か新しいことにチャレンジしてみたい、友達が欲しい、お子さんの習い事に、健康のため…そんな皆さんの思いに寄り添います。気軽に遊びに来て雰囲気を感じてみてください。
次回の開催日は湘南西部スポーツクラブのホームページをチェック。