この連載は月1回、「ふたまたがわ歯科口腔外科」の中谷逸希院長が気になるお口のあれこれについてわかりやすく解説してくれるコーナーです
今回は顔の神経の病気についてお話します。口腔の周辺には三叉神経や顔面神経という神経がくまなく分布しています。三叉神経は顔の感覚を伝える神経、顔面神経は顔の表情を動かす神経で、みなさん混同しがちですが働きが全く違います。
感覚がおかしくなる三叉神経痛は命に関わる病気ではありませんが、痛みは『電撃痛』といい、この世で感じる最もひどい痛みといわれます。発作の持続時間は極めて短く、通常は数秒で落ち着きます。しかし、顔を洗ったり歯を磨いたり日常生活の動作などがきっかけとなって、繰り返し痛みが誘発されることがあります。
三叉神経痛の治療は脳神経の先生が専門ですが、原因不明の歯の痛みや歯茎、顎が痛いということで口腔外科や歯科医院を受診される方も多い病気です。しかし、定期的に歯科医院でケアを受けていない方、むし歯や歯周病が多い方が、三叉神経痛を発症すると、痛みの原因はむし歯と診断されてしまうこともあります。その結果、「何度も歯の治療を受けているが痛みがなかなか改善しない」といった悩みを抱える方もいらっしゃいます。
口腔外科では三叉神経痛の薬を投薬し、脳神経の先生と連携をとりながら治療することが可能です。お口周りの痛みの原因がわからないなど、お困りの方がいらっしゃいましたら、かかりつけの口腔外科にお気軽にご相談ください。