喧騒を離れた箱根 ~今、「暮らし」に注目が集まる~
大物政治家や豪商の別荘、大企業の保養所がある箱根町。安息のときを求めて、観光客も多く訪れる。言わずと知れた観光の名所だが、最近では箱根の「暮らし」にも注目が集まっている。
都市から地方へ。お試し居住を体験
テクノロジーが進歩し、多様な働き方ができるようになった今、働き方や暮らし方を見直すタイミングが訪れている。モノで溢れる都市から地方へ。環境の変化を受け入れられるか不安な人は、まずは小さな一歩から。本記事では、箱根町のお試し居住プログラム「トライアルステイ」を体験し、感想をレポートする。
- トライアルステイとは
トライアルステイは、箱根町で2016年に始まった移住支援プログラム。実際に一定期間居住体験することで、生活のリズムや利便性など、自分に馴染むかじっくりと考えることができる。先輩移住者らで構成された民間移住支援団体「ハコネステイル」がプログラムを運営し、まちの案内のほか、仕事や住居探しなどをサポートしてくれる。
【コンテンツ】
◆「cotoha(コトハ)」を拠点にお試し居住スタート! ~拠点を紹介~
◆観光地で暮らせるの? ~箱根のまちを散策~
◆すっかり箱根の虜に! ~あなたもお試し居住(応募はこちら)~
「cotoha(コトハ)」を拠点にお試し居住スタート ~拠点を紹介~
箱根に降り立ち、見渡すと、360度山に囲まれている。豊かな自然が残るここは、富士箱根伊豆国立公園内。草花の香りが漂い、鳥のさえずりが聞こえてくる。箱根の水は、ミネラルウォーターや日本酒にも使われているという。「スー、ハー、スー、ハー」。思わず深呼吸をしたくなる。
- お試し居住期間の生活の拠点は箱根町仙石原の移住体験・交流施設「cotoha(コトハ)」。
「cotoha(コトハ)」は、空き家だった古民家を移住体験・交流施設として、2018年にリノベーション。手作り感溢れる室内は、ウッドデッキ作り、床貼り、漆喰塗り、家具作りなどを移住者や近隣住民、町職員がDIYで行ったという。
cotohaの充実した生活備品
cotohaには、生活に必要な備品が揃っている。宿泊旅行するときの持ち物があれば大丈夫。バスタオルは持参しよう。
トライアルステイ参加者の声【cotohaについて】~参加者アンケートより(箱根町提供)
▶空間が広くて、部屋も目的で使い分けられたので今住んでいるところよりも生活が豊かになって快適でした。
▶設備が新しく、リノベーションが素敵で快適に過ごせました。加えて、お庭が開放的で、山々の景色も綺麗で、住環境として最高だったと思います。それだけでなく、仕事をするのにも全く支障なく、静かな中で快適に働けました。
観光地で暮らせるの? ~箱根のまちを散策~
町の担当者にcotoha周辺の仙石原のまちなかを案内してもらうと、観光地というイメージが強かったが、生活に必要なサービスは十分に整っているようだ。
- 【気温が低い】山岳地帯の箱根町。箱根町の玄関口の箱根湯本エリアの標高約100mに比べ、仙石原は標高約650m。仙石原の気温は海抜0mのところと比べると5度ほど低い。私が行ったのは6月末だったが、日が落ちると肌寒かった。
立ち寄った各施設では皆さんに親切に接してもらい、観光地ならではのおもてなしの気持ちを実感。
自然の魅力だけでなく、”非日常”が日常に溶け込んだ「住む場所」「生活する場所」としての箱根を再発見。
- 【都心への好アクセス】cotohaの最寄りバス停から小田急ハイウェイバスに乗れば、新宿まで乗り換えなしで行ける。
行く場所に困ったら
どこに行けばよいか分からない。そんなときは、このマップを頼ろう。地元のスポットを、おすすめコメントを一言添えて紹介しており、外出のきっかけを与えてくれる。まちを巡り、まちのことを知れば、自然と自分に合っている場所か体感的に分かってくるはずだ。
箱根ならではの楽しみ
まちの人と話すと、外からやって来た私に対して「何もないよ」という反応が返ってくるが、たくさんの魅力がある。私の琴線に触れたのは、お酒と美術館と温泉だ。地元の酒を嗜み、美術を鑑賞し、温泉で余韻に浸る。日常のなかでこれが完結するなんて贅沢すぎる。
トライアルステイ参加者の声【トライアルステイについて】~参加者アンケートより(箱根町提供)
▶自主性に任され、時間を自由に使え、かつ困った時のサポートのある安心感があり、理想のトライアルステイだと思います。
▶滞在中に先輩移住者の方々とお話する機会もあり、気になっていた点なども聞くことができた。ハコネステイルのみなさんや役場の担当者さんが大変親切に案内してくださり、短時間でも実際に箱根町で生活することが具体的にイメージできた。
すっかり箱根の虜に! ~あなたもお試し居住(応募はこちら)~
ちょうどよい距離感、ちょうどよい不便さが、個人的にはとても心地が良かった。トライアルステイを終えて決意が固まり、実際に移住した人が何人もいるようだ。箱根町役場の担当者は「移住という結果はもちろんだが、トライアルステイを通して箱根を好きになってくれたらうれしい」と話す。
お試し居住プログラム「トライアルステイ」