この連載は月1回、「ふたまたがわ歯科口腔外科」の中谷逸希院長が気になるお口のあれこれについてわかりやすく解説してくれるコーナーです
今回は近年見ないほど流行しているへルパンギーナについてお話しします。ヘルパンギーナとは、子供を中心に流行る夏風邪の一種で、主な原因はコクサッキーウイルスA群というウイルスへの感染です。手足口病と咽頭結膜熱(プール熱)と並び子供の三大夏風邪と呼ばれていますが、しばしば大人も感染します。
通常夏季に流行がみられる疾患ですが、新型コロナウイルス感染症流行後は、流行時期が変化しているようです。神奈川県では例年より早い6月中旬に流行警報レベルに達し7年ぶりの警報発令となっています。通常は7月頃にかけてピークを形成し、8月頃から減少を始め、9〜10月にかけてほとんど見られなくなります。
ヘルパンギーナは2〜4日間の潜伏期間のあと、4日ほど熱や咽頭痛が出現し、口腔粘膜に直径1〜5ミリの小さな水疱が出現し、勝手に潰れます。ヘルパンギーナに対する抗ウイルス薬はなく、治療は対症療法が中心です。基本的に予後が良好な疾患ですが、口内炎によるのどの痛みから水分が取れず脱水症状を起こすことがありますので、こまめな水分補給と安静、栄養を心がけてください。
治療は基本的に小児科や内科になりますが、気になる口内炎などができた場合は口腔外科で判断することもできますので、お気軽にご相談ください。この記事が出る頃には少し落着きはじめているかもしれませんね。