浦賀ドックとは?
レンガ造りのドライドックとしては日本で唯一現存している建造物です。造船や修理、係船など様々な役割を担ってきた施設ですが、現在はその役を終え、静かに眠っている状態です。
ドライドックとはドックから海へつながる門を開閉し海水を入れていくことでそのまま進水出来る仕組み。完成後の船は重量があるため、クレーンで海まで運び出すことは出来ないため、この方式が取られていました。1899年に竣工されてから2003年の閉鎖まで1世紀以上にわたり、護衛艦や青函連絡船などおよそ1,000隻以上の船の造船や修理を行ってきました。
- 2023年9月23日(土)~2023年10月9日(月)まで開催される『MEGURU Project』。浦賀ドック見学ツアーやレンガドックに投影させるプロジェクションマッピングまで、ペリーが来航し170年となった今年、様々なイベントが行われます。
歴史を〝記録〟する高校生たち
『MEGURU Project』のイベントの一環として、地元高校生が浦賀ドックを支えた職人たちにインタビューを行い、動画に記録するまでのワークショップが9月2日~16日の各土曜日の3日間にわたって開かれました。
- 1日目は郷土史家の山本詔一先生を講師に迎え、浦賀ドックの成り立ちについて学びました。
- 2日目は、実際にドックで従事した経験を持つ職人に高校生自らインタビュー。
- そして最終日となる3日目に取材した内容を動画にし、職人たちの声を記録しました。
参加したのは、地元の高校生5人。3つのグループに分かれ、取材から動画編集までを行いました。それぞれが趣向をこらし、こだわりを見せた動画と3日間の様子をご覧下さい!
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海洋科学高校 岩田和也さん(左奥)、中原隆晴さん(真ん中奥)、野呂将大さん(右奥) 三浦学苑高校 服部晴和さん(左手前)、横浜国際高校 筒井悠太さん(右手前)
Day1:郷土史家の山本詔一先生から講義
1日目は郷土史家の山本詔一先生から講義を受け、浦賀ドックの生い立ちや歴史について学びました。高校生たちはドックが稼働していた歴史に触れ、興味深々な様子で話を聞いていました。
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ドックの歴史について講義する山本先生
Day2:経験者インタビュー
2日目には、浦賀ドックでの従事経験がある職人らにインタビューを行いました。中学卒業と同時に職人として働くための勉強を行う「養成工」出身の飯田恵一郎さん、電気艤装に従事した中島二三男さん、クレーン保全技師の富田実さんの3人にインタビューを行いました。
中学卒業と同時に職人として働くための勉強を行う「養成工」出身の飯田恵一郎さん
1組目は服部さんが養成工出身の飯田さんへ。養成工とは中学卒業後の学生を職人に育てるための企業内学校のこと。現在の「みかん山グラウンド」に校舎を構え、まだ15歳ほどの子どもが給料をもらいながら勉強をする現在では珍しいシステム。多くの技術者を輩出した養成工での思い出や経験などを話しています。
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養成工出身の飯田さんにインタビューをする服部さん
- 服部さんが作成した動画
電気艤装に従事した中島二三男さん
2組目は岩田さん、中原さん、野呂さんの海洋高校トリオが電気艤装に従事していた中島さんへ。造船における重要な要素である電気艤装。主に船の中の配線やエンジンの取り付けなどを行う船中の電気におけるエキスパートです。海洋高校で船舶の無線技術などを学ぶ同校の生徒が、船を陰から支える「電気と無線」の話を語ってくれました。
![電気艤装に従事した中島さんにインタビューする海洋科学高校の岩田さん](https://rarea.events/rarea/wp-content/uploads/2023/09/dd4a439e6d07f9d6ae54831861e613a9-920x518.jpg)
電気艤装に従事した中島さんにインタビューする岩田さん
- 3人が作成した動画
クレーン保全技師の富田実さん
3組目は筒井さんが今なお現役でクレーンの保全技師として働く富田さんへ。
かつての隆盛を誇った浦賀ドックを象徴したシンボル的存在のクレーン。直接操縦するのではなく、クレーンが安全に動作するように点検を行う業務で、事故防止のための保守管理業務に現役で従事しています。老朽化に伴い浦賀に残されたクレーンは一基のみ。安全性の問題が叫ばれる中で歴史財として未来に残していくための熱い想いを引き出しています。
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今でもクレーン保全技師として働く富田さんにインタビューする筒井さん
- 筒井さんが作成した動画
Day3:動画制作・まとめ
浦賀ドックの知識を深めた1日目、それを元に職人へインタビューをした2日目。そして集大成となる動画制作が3日目に。すでに頭の中にあった動画展開を自前のパソコンやスマホアプリを使い、次々と形にしていく高校生たち。中には動画を完成させてから当日来た人も。
1時間~2時間ほどで動画が完成。動画制作時にこだわったポイントや動画を通してどのようなメッセージを伝えたいのかなどを語りながらの発表会がその後おこなわれました。高校生たちは少し恥ずかしがりながらも、自身が作成した動画についての想いを語りました。
発表後は「編集が見やすい」、「構図と音楽が合ってる」などそれぞれの3日間の成果をたたえあう場面も。
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作成した動画を発表する服部さん
彼らの3日間を動画でプレイバック!
それぞれの個性が光る動画をご覧いただけましたでしょうか。普段は関わることが少ない他校の生徒との交流もあり、高校生たちは終始明るい雰囲気でワークショップに臨んでいました。
高校生たちは3日間を通して歴史への理解や、実際に従事していた人の生の声を聴くことの重要性を学びました。それでは、最後に3日間のワークショップの様子をダイジェスト動画でご覧ください!