箱根町の指定史跡「東光庵」から、雅な尺八の音色が聞こえてきます。演奏しているのは、2022年に箱根町宮城野に移住した尺八奏者・工藤煉山さん。毎週ここで、〈坐禅と吹禅〉というイベントを開催しています。
茅葺屋根の趣ある「東光庵」。江戸時代には、多くの文人がここで句会や茶会などの風流を楽しんだといわれています
- 工藤さんはなぜ、箱根を活動の拠点に選んだのでしょうか。箱根で尺八奏者としての道を追求している背景や思いを聞きました。
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「ぼくにしかできない音楽を」
鳥のさえずりが聞こえてきて、心地よい場所ですね
はい。360度自然に囲まれていて、坐禅をするのに良い場所です。害もないですし、争いもない。無為自然を説いた老荘思想の世界ですよね。ここから、ぼくにしかできない芸術やアート、音楽を発信していきたいという思いがあります。
ここに来るまでにどんな道筋が…?
尺八奏者として、これまでエンターテインメント性のある音楽も含め、なんでも仕事はこなしてきました。でも、もっと人の心に寄り添った文化的なことができないかと思うようになったんです。箱根に来る前は、「自然の音」を極めようと、禅のまちでもある鎌倉のお寺で数年間、呼吸法と身体法を鍛錬していました。
その後、箱根に行き着いたのですね
ちょうどコロナ禍でした。森があって、動物がいて、という場所に住みたいなと探していたら、箱根に物件が見つかって、そこをすごく良いと思ってしまったんですね。自然災害や生活環境、近隣住民のことなど、2、3カ月はいろいろ考えていました。深夜に車を走らせて来たこともありましたね。それで、不安はないと思えたので、移住を決めました。
喧噪を離れて、シンプルに
実際に住んでみて、どうですか?
東京とかは飽和していて、何が良いのか分かりづらいですけど、箱根はシンプルな生活をしている人が多いです。自然体で、とてもいい場所だなと思います。
どんな一日を送っているのですか?
朝はだいたい4時に起きます。虫の音や鳥のさえずりで気持ちよく目が覚めるんです。起きたらまず、太極拳やヨガなど身体性の運動をします。終わったら人参ジュースを飲み、30分後にチャイとナッツ、デーツ系のフルーツを食べます。そしてまた、身体性の運動を。昼には瞑想をします。これが家にいるときのルーティンです。分かりやすく言うと、尺八界の片岡鶴太郎ですね。
仕事は、基本はオンラインで弟子に教えたり、演奏があるときは都内や地方に出掛けたりもします。週に1~2回は鎌倉にも通っています。
箱根町内のイベントでも盛んに演奏されていますね
ええ。箱根町はそんなに大きい町ではないので、やりたいことを言い続けていると自然と繋がっていくという感じですね。
まだまだやりたいことがあって、その1つが箱根町産の竹で尺八を作って教えるということです。
「箱根に骨をうずめられる」
箱根暮らしで、不安なことはないですか?
そうですね。雪を心配する方もいますが、ぼくは札幌出身なのであまり気にならなかったです。最近は積もらなくなっているみたいですし、そこまで心配しなくても大丈夫だと思いますよ。
買い物も、意外と困らないんです。町内には魚屋さんも、肉屋さんもあって、美味しい食材が身近に手に入ります。あと何がいいって、温泉が近いのがいいですね。特に町営温泉は毎日入っても安いです。
どんな人が箱根に合うと思いますか?
自然体の人が多いので、東京とかのガツガツしている雰囲気が好きな人は合わないかもしれません。箱根に来ていろいろな仲間ができましたが、みなさんちょうどいい距離感なんです。その距離感を保ちたいんでしょうね。
もちろん町おこしや祭りなどを頑張る人もたくさんいて、そこにどっぷり浸かる人もいます。地元の方は新しく入ってくる人に対して、そこにどの程度かかわるかを選べるような対応をしてくだります。
工藤さんにはぴったりの場所なんですね
ぼくはもうここに骨をうずめられるなと思っています。程よい距離感の人間関係が心地よいですし、自然の臨場感がぼくの音楽には欠かせません。それに古物商のお店や美術館もあって、文化が根付いている印象もあります。
いろいろな目的があって、箱根移住を考える人がいると思いますが、素直にやりたいことをやり続けていると、それを支えてくれる方と必ず出会います。なので安心して、前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
「無為自然になりたいときは、
ぜひぼくを頼って来てくださいね!」
〈坐禅と吹禅〉
イベント詳細は【こちら】
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