この連載は月１回、「ふたまたがわ歯科口腔外科」の中谷逸希院長が気になるお口のあれこれについてわかりやすく解説してくれるコーナーです

　今回は、最近報告された「歯科受診と歯の本数の関連性」についての研究についてお話します。

　今年５月に行われた日本歯周病学会で、「口の健康管理のための歯科受診が歯の喪失の抑制に関連する」と、サンスター㈱と㈱ミナケアから報告されました。20歳から70歳まで23万人もの患者を解析した日本初の大規模研究データとして話題となっています。

　具体的には、「歯が痛い」など何かあった時にだけ歯科治療している群に比べ、定期的に歯科医院でメンテナンスまで行っている群では70歳以上で４〜５本も歯の本数が多く、40代以上のすべての年代において定期的に歯科医院でメンテナンスされた人の方が有意に歯の本数が多いことが分かりました。

　また、喫煙者や糖尿病のコントロールが悪い人についても年齢が高くなるほど有意に歯の本数が少ないことも分かりました。

　この研究結果から、口の健康管理のために歯科医院へ定期受診している人は、単に治療のために受診している人に比べて歯の本数が多いということが分かったのです。

全身の健康に十分気を配りながら定期的な口腔健康管理を行うことで、歯の喪失を防ぐ可能性が高く、定期的メンテナンスの重要性がデータとして裏付けされました。日頃から、困りごとを相談できるかかりつけ歯科医院をもち定期的に受診して、健康的な生活を送ることが大切です。