この連載は月１回、「ふたまたがわ歯科口腔外科」の中谷逸希院長が気になるお口のあれこれについてわかりやすく解説してくれるコーナーです

　前回、糖尿病のコントロールが悪い人は歯の本数が少ないという研究データをお示ししましたが、糖尿病があることで歯科治療を敬遠されている患者様もいらっしゃいますので、今回は、糖尿病と歯科治療についてお話します。

　糖尿病とは、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効きの低下から血糖値が増加し、体の血管を傷つけ全身にいろいろな影響を与える病気です。２０２３年に日本歯周病学会から出されたガイドラインでは、糖尿病患者では歯周病の発症頻度は増加し悪化すること、血糖値の目安であるＨｂＡ１ｃの改善には歯石を取ったりする口腔ケアが有効であることなどが示されました。

　歯科治療を行う際には血糖のコントロールが良好である場合は特に問題ありませんが、コントロールが悪いと一般的に傷口が治りにくく感染しやすいため抜歯などの外科処置を行う時には注意が必要です。歯科医院に受診される場合はご自身の血液検査データやお薬手帳を持参されると良いでしょう。血糖コントロールが悪いからといって、むし歯などの一般的な治療であれば特に制限はありませんので、歯科治療から遠のいている方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。

　定期的な歯科受診によるチェックとメンテナンスにより口腔と全身の健康を守り、一緒に健康長寿を目指しましょう。