- 港南区日野IC付近、昭和23年創業の加藤畳店代表取締役・加藤智与志さんに畳の魅力について聞いてみました。これまで知らなかった畳の良さが満載です。
畳の現状
イグサは世界中で利用されている
畳の原材料となるイグサは世界各地に自生している植物。イグサを使ってござを織る文化はシルクロードを伝って日本に渡ってきました。しかし、畳のように畳床にイグサをくっつけて床材とするのは日本特有だとか。
国内の農家は294件
そんなイグサですが、現在は衰退傾向です。国内に残る農家は294軒(2022年10月時点)。加藤さんは「高齢化が進んでいるうえ、出荷まで2年かかる。さらに泥染めするなど重労働。これからさらに減ると思う」と危機感を口にしています。
畳にはメリットが多い
そんなイグサから作られる畳にはメリットが沢山あります。
①調湿性
畳には自然と部屋の湿度を調整する機能があります。「イグサの中には灯心という、綿状の物質が入っています。これが湿気が多い時期には水分を吸収し、乾燥した時期には放出します」一畳で約500mlの水分を吸収する能力があるそう。
②抗菌性
「イグサは江戸時代まで薬草として飲まれていました」と話す加藤さん。そんなイグサの抗菌性は畳にした場合も同様です。「畳は手足の白癬菌(はくせんきん)に対して抗菌効果をもちます。これは水虫の原因菌ですから、畳の上で生活すると予防になります」
③吸着効果
加藤さんは「畳は掃除がしやすいんです!」と語ります。「畳は埃やCO2を吸着します。そのため、畳についたゴミさえ払えば掃除が終わります。フローリングには埃が溜まりにくいように見えますが、それは空気中に舞っているためです」畳の部屋は空気が澄んでいるように感じますが、気のせいではなかったんですね。
④香りによるヒーリング効果
畳のプロである加藤さんは、香りが持つヒーリング効果についても解説。「畳に含まれるフィトンチッドという成分は森林と同じです。また、バニリンという香り成分も入っていますが、これはバニラの香り成分です」畳の癒し効果は科学的にも解明されているのです。
⑤断熱性
畳が床材として利用されてきた理由の1つに断熱性の高さがあります。断熱性の高さはイグサの灯心に由来。イグサの中が綿状になっているため空気の層を作りだすのです。
⑥乳幼児の発育にも効果大
「畳は子どもの発育にも影響を及ぼします」と話す加藤さん。
「フローリングの床の場合、赤ちゃんをマットの上に寝かすことが多いですが、畳の部屋ならばマットがなくても横になれます。すると、自然と背中の筋肉が鍛えられるのです」畳の部屋で生活している赤ちゃんは寝がえりをうつ時期が早くなると言います。さらにハイハイをしだすと畳の凹凸を掴むようになります。これにより、今度は手の筋肉が鍛えられ、エビ反りをしたり、立ち上がったりする時期も早くなるそう。
また、「フローリングの場合、周りの大人は立っていることが多いので、どうしても赤ちゃんへの声掛けは上からになります。しかし、畳の上では低い姿勢になる。そのため、近い目線からの声かけとなりコミュニケーション能力の向上に役立ちます」とも。
「こうしたことから、出産祝いで置き畳(※後述)を送る人もいます」
進化する畳
加藤さんは、新たな畳の可能性を探り続けています。
置き畳
フローリングの上でも簡単に設置できるのが置き畳です。
厚さ約15㎜のマット。しかしこれもれっきとした畳です。加藤さんが作るものは高品質で耐久性も十分。デザインも豊富に揃っています。
花ござ
色のついたイグサを折り合わせたのが花ござです。
カラフルなデザインでおしゃれ感満載。加藤さんが手にしているのはヨガマットですが、これを使えばさらに体に好影響間違いなしです。
撥水畳
「畳に液体をこぼしてしまったら跡がずっと残るかも…」畳にはそんな不安がつきものです。しかし、加藤畳店では撥水加工を施した畳も販売。
「拭き取れば跡は残りませんし、撥水効果は長期間持ちます」
イグサを食べる!?
また、加藤さんは洋菓子店とコラボした「イグサスノーボール」を開発しました。
元々は薬草だったイグサ。最近はスーパーフードとしても注目されているそうです。
おしゃれな小物類
畳をモチーフにした小物も制作。
「外国人にも評判がいい」とジャパニーズカルチャーの発信にも一役買っています。
加藤畳店がもつ確かな技術
現在、加藤さん、お父さん、弟さんの3人の職人で営業している加藤畳店。加藤さんは大学を卒業後修行に入り、27歳で一人前の職人となりました。「畳制作で一番難しいのは、四角い畳を正確に作ること。全て同じ畳に見えても、部屋のゆがみに合わせて一枚、一枚微妙に違うサイズで作る。しかし、全て同じサイズに見えるように作るのが、腕の見せ所」
畳制作一級技能士、神奈川県ものづくりマイスター、神奈川県職業指導員など、確かな実力を備えています。
まずは問い合わせから
横浜市南部を中心に、横浜北部、川崎市、鎌倉市、藤沢市でもサービスを展開している加藤畳店。「まずはお伺いして現場を見ることから始めます」どんな商品があるのか、どんな工事が可能なのか。畳に関する悩みごとは、加藤畳店へ。
- 下記問い合わせフォームから。また、小物に関してはECサイトでも購入可能です。