24時間365日救急外来をはじめ、整形外科など7診療科を中心に医療を提供する東戸塚記念病院(東戸塚駅東口から徒歩約3分)。1988年の開院以来、地域住民の命と健康を守り続けてきました。同院の中核を担う整形外科の医師でもある山崎謙院長に、整形外科の取組みや現状、病院全体の特徴、目指す方向性を聞きました。
股関節骨折での救急搬送が最多
東戸塚記念病院に救急搬送される人でもっとも多い症状は股関節の骨折。結果、手術数も最多といいます。その多くは高齢者です。「高齢化が進むなか、寝たきりにならず、日々元気に活動される方が増えています。とても喜ばしいことですが、その分、ケガをされるリスクがどうしても高まります」と山崎院長。
では同院ではどんな手術を行うのでしょうか。
患者さんへの負担を極力減らすため、特に高齢者では人工股関節の手術を提案することが多いそう。大腿骨頸部(足の付け根)の手術にはおおまかに人工のものに置き換える手術と骨を留める手術に別れます。山崎院長によると通常は人工骨頭置換術を行いますが、硬い金属のため、よく動ける人は骨盤の屋根に直接衝撃を与えてしまい痛みがでてしまうことがあるといいます。「ですので当院では、特に活動性の高い患者さんには術後の痛みが少ない人工関節手術を勧めています。手術は40分ほどで終了します」
同院では両方の手術を合わせて年約300件行っています。これは県内最多レベルとなります。
脊椎内視鏡手術に力を入れる
- 5分歩くと足が痛くなり、一休み。そうすると痛みが取れるがまた痛む。
- 立って台所で洗い物をしているだけで痺れて歩けなくなる。
こうした「生活の質」が下がるような切実な悩みを持つシニアの方は多いのではないでしょうか。
山崎院長がもう一方で力を注いでいるのが、脊椎の内視鏡手術です。脊椎疾患は、脊椎の中を通っている神経が圧迫されて痛みや痺れなどが起こるもの。従来の脊椎手術は、筋肉を分けて、骨を削るといった大がかりなものでした。しかし、院長は16mmの操作管(円筒状の筒)を挿入し、カメラ(内視鏡)で確認しながら鉗子(かんし)などを使ってヘルニアを摘出する手術を行います。2年前からはさらに縮小した7mmの内視鏡(FESS)を導入。わずかな切開で済むことから、患者さんの身体への負担が大きく軽減される「低侵襲な手術」が進んでいます。
内視鏡の手術を行うドクターは全国的にみても少数。院長のように「内視鏡技術認定医」(日本整形外科学会認定脊椎内視鏡下手術)の資格を持つのは、神奈川県でいまは12人となっています(23年11月30日現在・日本整形外科学会のHP参照)。
脊椎の手術は、失敗したら歩けなくなる、足が麻痺するから怖いというイメージは従来からあります。一方で医療技術は日進月歩。山崎院長は「坐骨神経痛、腰痛や下肢のしびれなどの腰部脊柱管狭窄症を患っていて、お薬で一時的には良くなる。でもあんまり改善せず、結局痛みを我慢している方には、ぜひご相談をしていただきたいですね。旅行や温泉にご夫婦で、お仲間で、遊びに出かける、生きる楽しみを再び味わってほしいと願っています」と呼びかけます。
院長が東戸塚記念病院で目指す方向性とは?
呼吸器内科、糖尿病内科などに新しいドクターを積極的に入れ、一般的な町のクリニック的な要素を備えつつ、専門的な総合病院の役割を横浜エリアで果たすことが山崎院長の目標です。
「私が目指しているのは、『職員が納得できる医療』を患者さんに提供することです。当院で働く看護師やメディカルスタッフたちから見て、そのドクターが患者さんに提供する医療に納得することができれば、必ず患者さんの期待に十分応えられ、満足していただけると思っています。それが当院の理念です」