横須賀を拠点に活動する「劇団河童座」が12月9日(土)・10日(日)の両日、結成70周年の記念公演を行う。演じるのは劇団の代表作のひとつ『わしゃ、喰っちょらん!』。アルツハイマー型認知症になった高齢男性を抱える家族の姿を明るくユーモラスに描き、介護のあり方や向き合い方を投げ掛ける。
同劇団は横須賀の高校演劇部OBを中心に1951年に旗揚げ。初代座長を現座長の横田和弘氏の父が務めた。劇団名は自由と創造をテーマに書かれた芥川龍之介の小説『河童』に由来する。現代劇・古典・児童劇とジャンル横断の表現活動に取り組んでおり、郷土史や社会問題を扱う作品も数々手掛け、今公演が239回目となる。実際の70周年はコロナ禍の真っただ中であったため今回を記念の舞台に位置付けた。
核となるメンバーは10人程度。創設時から入れ替えを繰り返してきたが、現在も10代から70代まで幅広い世代が在籍している。横田氏が別の劇団で指導していた当時小・中学生だった者が成人して団員に加わっているなど、世代交代も進んでいる。
作品は高校の校長だった70代の厳格な男性がアルツハイマー症となり、それを見守る家族のドタバタを演じる。深刻に捉えられがちな「認知症」の問題をあえて明るく、笑いを交えて表現している。これまでは創設メンバーの鈴村健二氏が主演を務めてきたが、2年前に鬼籍に入ったため、新キャストを立てて挑む。
「何度も演じてきた河童座にとって宝物のような作品。生の舞台を味わってほしい」と横田氏。会場は深田台の横須賀市立青少年会館3階ホール。開演は9日が午後1時30分と6時30分。10日は午後1時30分。一般前売り2千円(2千500円)、高校生以下1千円(1千500円)。※カッコ内は当日料金
予約・問い合わせは同劇団【電話】046・823・7443
横須賀演劇界をけん引
劇団河童座の座長だけでなく、横須賀の市民演劇を長年にわたって力強くけん引してきた横田和弘氏=写真。小中高生を中心とした「よこすか市民ミュージカル」(通称=スカミュー)、60歳以上のメンバーで編成する「横須賀シニア劇団 よっしゃ!!」の運営にも深く携わる。演劇人として功績が認められ今年度、文化庁の地域文化功労者に選出された。神奈川県演劇連盟元理事長。