樹齢600年以上といわれる三戸の光照寺にある古木「スダジイ」が11月25日、(一社)日本樹木遺産協会の樹木医から診断を受け、幹内部の腐朽率が75%であることが分かった。来年4月から治療が施される。
スダジイは、ブナ科シイ属の常緑広葉樹。境内の墓地内にすっくとそびえ立つ古木は、同寺が創建した室町時代の1430年には既にあったと伝えられている。樹高は8m、幹周は5mほど。市指定保護樹木20本のうちの1本で、「かまくらと三浦半島の古木・名木50選」にも選ばれている。
県内初の樹木遺産
三浦正英住職によると、上部の枝に葉がつかず、リスに樹皮をかじられるなど、今年に入って特に樹勢が弱まってきたという。もう1本あったスダジイは枯れ、頭を悩ませていたところ、同協会の事務局を務める(株)木風の楠恭子さん(菊名在住)が同寺を訪れた。
2022年5月に発足した同協会は、歴史的価値のある木を所有者の同意を得て「日本樹木遺産」と位置づけ、次世代に残す活動をしている。同寺のスダジイは今年8月、戸越八幡宮のケンポナシ(東京都品川区)、抹香屋のタブノキ(同江戸川区)に次ぐ3番目、県内では初認定された。
シンボルを守れ
診断では、CTスキャンのように樹木内部の腐朽率を調べる「ピカス音波計測器」が用いられたほか、木槌で幹を叩いた音の速さで空洞箇所を見つける方法で行われた。
「どこまで復活するのか楽しみ」と、地元の子どもたちも一緒に体験。今夏の暑さで乾燥したことなどが、腐朽進行の要因の一つとみられる。
今後は枯れ枝を取り除いて新しい枝を生やし、根から栄養が取れるように肥料をまいて土壌を改良するほか、万が一の倒木を避けるために支柱も設置する。治療費は、協賛企業の大樹生命保険(株)が3年間まかなっていく。同協会副理事で樹木医の後藤瑞穂さんは「日本の文化的な財産を残すためには、地元の人々に関心を持ってもらうことが大事」と話し、三浦住職は「寺のシンボルが元気になりますように」と願い、古木を眺めた。