2023年12月2日式典、学校への思い再確認
川崎市立宮崎小学校(西田裕子校長/児童数1248人)は今年、創立150周年を迎えた。12月2日には、同体育館で記念式典が開催され、各学年が発表を行った。児童たちは、保護者や地域と共に歩んできた歴史と、学校に対する思いを再確認した。
150周年のスローガンは「時代をこえ 元気と笑顔の未来へ150歴史をつなげ 宮崎小」。会場となった体育館には、全校児童の自画像と手形で制作したモザイクアートが飾られた。冒頭、西田校長は「式典を通じて、子どもたちの『宮崎大好き』という気持ちを、地域の方たちと共有したい」とあいさつした。
学年ごとに発表
記念式典では、各学年がテーマを設け、歌や劇などを披露。会場を訪れた来賓や学校関係者ら約150人に向けて、学習成果を発表した。
- 1年生は「楽しい学校ありがとう」と声を合わせ、お世話になっている人への感謝の気持ちを呼びかけと歌で伝えた。
- 2年生は、調べてきた宮崎地域の人や街について、「あったかーい」のフレーズに合わせて発表した。
- 3年生は、地域に伝わる「みやざきばやし」を披露。手作りの獅子舞も登場し、会場を盛り上げた。
- 4年生は「こども110番の家」や歩道橋、英語対応の飲食店など、再発見した宮崎の良さを紹介した。
- 5年生はSDGsをテーマに、エリア内の企業の取り組みを紹介。「私たちにもできることを見つけ、素晴らしい街を守っていきます」と述べた。
- 6年生は、50年後の未来にタイムスリップする劇を発表。過去があるから今があることを痛感した児童たちは、「50年後の未来を作るのは私たち。歴史をつないでこう」と宣言した。
式典に向けて尽力してきた計画運営委員会の発表も行われた。学校の歴史や150周年記念事業を振り返ったほか、愛知県岡崎市立宮崎小との交流の様子を、クイズ形式で紹介した。また、150周年を記念して作られた新キャラクター「かたるん」の着ぐるみもお披露目。エンディングでは、参加者が150周年記念歌「つなげる思い」と校歌を一緒に歌い、学校への思いを新たにした。
児童のアイデア歌に!校歌のパートナーソング
宮崎小学校の児童が歌詞やメロディーのアイデアを出し、記念歌「つなげる思い」が誕生した。150年続いてきた歴史と未来をつなぐという思いを込めた歌詞とともに、校歌とあわせて歌うことができる「パートナーソング」が特長だ。
歌詞メロディはイチから
パートナーソングは、同時に重ねて歌うことができる、異なる2曲。同じコード(和音)進行で構成され、同時に歌うことで合唱曲のようにハーモニーを響かせる。
編曲を担当した角田亘平教諭は「長く歌い継がれる曲になってほしい」と、記念歌を校歌のパートナーソングにすることを考案した。作曲にあたり、まずは角田教諭が校歌に現代風のコードを振り直し。そのコードを基に、昨年度の音楽委員会の子どもたちが、音楽専科教諭とともに一からメロディーを作成し、角田教諭が仕上げた。
歌詞は全クラスからアイデアを募集。音楽委員会で整理し、歌詞を完成させた。こだわったのは「つなげる」を感じさせる言葉選び。製作に関わった児童は、「勝手につながるのではなく、自分たちでつなげていこうという思いをこめた。これからも校歌と一緒に歌ってほしい」と楽曲に込めた気持ちを語る。
角田教諭は「子どもたちと卒業生を『つなげる』曲になることを願っている」と話している。
人文字を航空写真に
全校児童による人文字の撮影が4月24日に行われた=写真。全校児童1248人が、色とりどりのエプロンを身にまとい参加。「150」「2023」「MIYAZAKI」といった文字をはじめ、130周年時に考案されキャラクター・栗の妖精「くりぼん」と「マロン」、150周年記念として考案された「かたるん」がグラウンドに描かれた。
学校の栗でお祝い給食 10年前植樹の思い叶う
校章が栗の葉であることから、宮崎小学校のシンボルとして親しまれている栗。創立130周年キャラクターの「くりぼん」「マロン」は栗の妖精。創立140周年の記念には栗の木も植樹。そんな学校の栗で150周年を祝おうと、10月には特別な給食が登場。10年前の学校や地域の思いが実を結んだ。
同校独自の献立となった10月17日、給食で提供されたのは「栗ごはん」。食材の栗は、記念同校独自の献立となった10月17日、給食で提供されたのは「栗ごはん」。食材の栗は、記念植樹された木から取れたものと、地域住民から寄付されたもの。5・6年生の児童が、学校の木に実った1000個以上の栗を収穫した。
地域の人が皮むき協力
提供前日には、宮崎会をはじめ地域の方々が、栗の皮むきをお手伝い。教職員数名も参加し、固い皮をむいて準備した。できあがったのは1300食以上の栗ごはん。メニューはほかに、同校のキャラクターがプリントされたメンチカツ、お祝いの吸い物、紅白ゼリーも。特別な給食を楽しみにしていた子どもたちは、お皿いっぱいの栗ごはんを笑顔でほおばった。「栗を初めて食べた」という児童も多かったという。栗の木は「150周年には子どもたちに栗ごはんを」という思いを込め、当時の校長や地域住民が協力して10年前に植樹。すくすくと育ち、多くの実をつけ、学校の歩みや地域のつながりを象徴する木となった。
体育館を装飾 モザイクアートと手形の樹
児童たちの思いの詰まった「モザイクアート」と「手形の樹」が体育館を彩っている。
「モザイクアート」は、全校約1300人超の一人ひとりの顔と名前が書かれた色パネルを組み合わせて、宮崎小のキャラクターを作り上げたもの。体育館の壁面いっぱいに広がる迫力ある作品に仕上がった。
「手形の樹」は、各クラスの子どもたちが自分の手形を押し、現在の自分の姿と成長を表したもので、全校で一つの樹を作り、宮崎小の団結と未来への広がりを表現したという。また、学校のシンボルツリーである「あおぎりの樹」が代替わりしたことを受け、「次の樹も大きく育つように」という思いも込められている。
シンボルが新しく
150周年記念事業の一環として、宮崎小学校のシンボルがリニューアルされた。創立100周年時に作られた「岩石園」は、この50年でヒビが入るなど老朽化。地域の人や卒業生が修復に取り組んだ。新しくなった岩石園は東・西・南・北が記され、頂上から水を流すと池の中へ行く設計。左右に板を設置して安全も確保された。
地域の歴史資料館「ふれあい館」もきれいになった。畳が替えられ、照明はLEDに。見学した児童は「エアコンも設置されて学習にも集中できる環境となった」と喜んでいた。
さらに校旗や校舎の時計も真新しく生まれ変わった。
「多くの人に見てほしい」市内画家、周年祝い絵画寄贈
内閣総理大臣賞など数々の受賞歴のある市内在住の画家・垣内宣子さんが、宮崎小学校の創立150周年を祝い絵画を寄贈した。100号の大きさの油彩で、エストニアのタリン地方を描いたもの。垣内さんは児童らに向け「好きなことを続けることが財産になる。限りある時間。好奇心を持って勉強を続けていってほしい」とエールを贈る。
校舎壁面にロゴマーク
2022年度から3年間かけて校舎の再生整備が行われている。その一環として、校舎の顔である西昇降口前の壁面に、150年の歴史を刻む1873のロゴが出現した。スクールカラーのグリーンの校舎と共に、新しい宮崎小のシンボルになることが期待されている。
バス停前にパネル設置 スローガン掲げ
150周年記念スローガンが昨夏、「時代(とき)をこえ 元気と笑顔の未来へ150(いこう)歴史をつなげ宮崎小」に決定した。このスローガンは、全校児童が宮崎小学校への思いを込めた言葉を出し合った中から、児童会で決定したもの。スローガンのさらなる周知を図ろうと、宮崎小学校では約1年前から、バス停にもなっている小学校の正門前に、記念パネルを掲示している。