この連載は月1回、「ふたまたがわ歯科口腔外科」の中谷逸希院長が気になるお口のあれこれについてわかりやすく解説してくれるコーナーです
今回は、狭心症や心筋梗塞を患っている方が、歯科治療の際に気を付けなくてはならないことについてお話します。
狭心症、心筋梗塞はともに、心臓の動脈が詰まりかかったり、詰まったりすることで発症します。発症後は様々な方法で治療され、治療後は血管が再び詰まってしまうことを防ぐために血液をサラサラにする薬を内服されている方が多い疾患です。
歯科の立場からの注意点として、歯科治療の前、特に抜歯など出血する処置の前に自己判断で血液サラサラの薬を止めてしまう方が稀にいらっしゃいますが、血液サラサラの薬と一口にいっても抗血小板薬や抗凝固薬など様々な種類の薬があり、休薬が不要であったり、休薬が必要であってもその期間は一様ではありません。
決して「自己判断での休薬は絶対にしない」でください。
血液サラサラの薬を飲んでいても、一般的な歯科治療であればほとんどの処置で問題になることはありません。抜歯など口腔外科的処置であっても多くは局所的な止血が可能です。ただ、心筋梗塞については発症後の歯科治療に際して制限される期間がありますので、かかりつけ医と歯科医院での情報共有が大切です。安心して歯科医院へ通院するためにも、病気の状況や内服薬が増えたり変わったりした場合は、歯科医院へ申告するのを忘れずにお願いいたします。