相模原市緑区寸沢嵐在住の榎本行雄さん(76)が昨年、地域の文化祭で出品したミニチュア古民家。「哀愁を誘う素晴らしい作品。どんどん昭和が遠くなっていくから余計懐かしくなる」など、一部で話題になった作品ということで、作者の榎本さんに話を聞いた。
廃材と麻縄で
このミニチュア古民家は高さ15cm、幅20cm、奥行き13cm程度。柱には廃材、茅葺き屋根には麻縄、その他にも壁紙の端材、竹の切れ端などを使って一棟を完成させる。「基本的にはあるもので作る」と、あまり予算をかけないのがこだわり。榎本さんは、もともと古民家巡りが趣味で古民家へ出掛けては「自分で作ってみたい」と思っていたという。72歳の時に退職して時間に余裕が生まれたことから、廃材でミニチュアを作ることを思いつき、昨年の春から制作に挑戦した。
設計図の通りに作るやり方ではなく、思いつきで作業を進めるのが榎本さん流。頭の中のイメージを大事にして、作っては壊してを繰り返して納得のいく形に仕上げていく。「本物に近くなっていくのが楽しいね」と榎本さん。作品はおおよそ1カ月で完成する。「いかに本物のように見せるか。古民家を建てる職人も少なくなったと聞くし、街中で見かけなくなった分、見て懐かしんでもらいたい」と話す。
中には仕掛けが
また、古民家の中にも仕掛けが。障子を開けると、いろりに座布団、たんすなどが見える。「人間の本能じゃないけど中って気になるんだよ。見たくなるでしょ」とにんまり。スイッチを押すと、いろりの火がパチパチと音を立てているかのように光り出す。「これは遊び心」と、またまたにんまり。
現在、作品は4棟で、まだまだ制作への思いは強い。榎本さんは「元気な限り作り続けたいね」と笑った。
なお、作品は榎本さんの自宅(寸沢嵐1597)で公開している。