鎌倉では、3月下旬から4月上旬に向けてどこもサクラが満開になる。建長寺参道、明月院のシダレザクラ、鶴岡八幡宮の源平池と段葛。どこも鎌倉を代表するサクラ観光スポットである。どこも人で賑わうが、ひっそりゆっくりとサクラを堪能したければ、妙本寺祖師堂のサクラをおススメする。祖師堂は鎌倉最大の木造仏堂建築といわれ、忙しい日々を忘れさせてくれる。この寺では、主にシダレザクラやソメイヨシノ、サトザクラを鑑賞することができる。
歴史は1260年まで遡る。有力御家人であった比企一族の邸宅跡があったとされ、開基は比企能員の子である能本と伝えられている。また、二代将軍源頼家に嫁いだ若狭局を祀る蛇苦止堂、一幡を祀る袖塚などがある。境内の右側に比企一族の墓がある。実際に足を運ぶと、ここで何があったのかを想像するだけの重苦しい雰囲気を漂わせる。
話題を花に戻すと、妙本寺は1年を通じて名花鑑賞のいたれりつくせりの名所である。シダレザクラ、ソメイヨシノ、ノウゼンカヅラ、アジサイ、紅葉と見どころ満載である。都会の音、匂いがせず、自然と暮らしているような感じも見受けられる。座って休憩する観光客も多く、祖師堂を背にしてサクラを鑑賞したり、運良ければ前撮りをしている景色も見ることができる。アクセスは鎌倉駅東口から10分程度で、本覚寺、夷堂橋を通って行くと辿り着く。
中田晋